白いまま溶けてⅡ【短編集】 (ページ17)

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黒い感情は行動に出る_red* ページ17

嫌だな、嫌。正直に言えば、僕の彼女はモテる。そんなのは付き合う前から知ってた。知ってるつもりだった。だけどやっぱり、

[Aってもうあそこで働いてないんだっけ？]
『そうだね、転職したの。』
[お前仕事できるからどこでも大丈夫だろ。]

あぁ、近いな。頭撫でていいのは僕だけなのに。てか呼び捨てやめてよ。耳障りなんだけど。AもAで満更じゃなさそうな顔しちゃってさ。そんなどす黒い感情が頭にまとわりついてくる。…あーあ、嫌だな。こういうの。そう思ってからは早かった。

「A〜！迎えに来たよ！」
『あ、ぶるーく。ありがとう。…それじゃまた、』
[おう。じゃあな。]

彼女に手を振って去っていった僕の知らない人。アイツが見えなくなってから思いっきりあっかんべーしてやった。そして目の前にいるAを抱きしめる。ほんと、いつからこんなに嫉妬深くなっちゃったのかな…いや、多分彼女のせいだな。うん。

『ちょ、ぶるーく？ここ会社の前、』
「んー…知ってる。よし、今から僕の家行こうね！」
『えっ!?』

僕は驚いた表情をしている彼女の手を引いて家へと連れ込んだ。くるりと振り返って即座にキスを落とせばふるりと揺れるAの瞳。それを見てつい口角が緩む。けれど中々口を開けてくれないのでべろん、と唇を舐めてみせるとかなり驚いたようですぐに薄ら口が開いた。その瞬間を逃さず舌を入れる。

『っぁ、ん…ッ、』
「_____っふ、む、」

逃げる舌を追いかけて絡めては上顎を舐めたり歯列をなぞったり。僕の一つ一つの行動で肩を揺らすAがあまりにも可愛くてつい楽しくなってしまった。そのせいで彼女が酸欠になっているのも気付かなくて。

『ッ〜〜、！むり、っ!!』
「ん、…ごめん、大丈夫？」

肩をどん、と押されてやっと少しだけ理性を取り戻した。だけど目に映った彼女は頬を紅潮させていて、酷く魅力的に見えてしまう。…ダメだ、今手に入れた理性をもう手放してしまいそうだ。