二人の瞳は知っている

☆ ページ9

上杉side



『ピピッ ピピッ』


携帯の目覚ましが鳴る。



朝か。

重い体をゆっくりと起こし、誰もいないリビングに入る。


親は既に病院にいっているから、大抵朝は一人。


寂しくないけど。


トースターで焼いた食パンをお皿に載せ、テーブルの上に置く。


バクバクと休むことなく食パンを食べ、そこにミルクを注ぎ、無理矢理腹の中に流す。



基本、テレビは見ないがなんとなくつけてみる。


画面に映ったのは、にっこりと営業スマイルを浮かべたアナウンサー。


『今回の特集は、カップルにおすすめ!デート特集です♪』


『デート』


その言葉を聞いて不覚にもドキリとしてしまう。





無だ、無。




落ち着け、上杉和典。




前までは、普通に話せてたのに。



恋愛なんてどうでも良かったのに。




意識しちまうじゃねーかよ、立花のせいで。





洗面所へ行き冷水で顔を洗い、ゴシゴシとタオルで拭く。




そして部屋に戻り、悩んで決めた服に着替え、鏡の前に立つ。



変じゃ、、、、ない、よな。



服に付いたゴミを取り、髪の毛を整え、家を出る。



まだ、待ち合わせの一時間も前なのに。

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