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こっちを見てよ。 ページ4

「お花ぶつけちゃってごめんなさい。」

彼女の返信からは、仕事を依頼してきた時の営業スマイルではなく、あの時の困り顔が見えるようだった。

何着ていこう。
いや、別になんでもいいよな、デートじゃあるまいし。

当日。
結局少しオシャレをして、言われた喫茶店の前で待っていた。

ラーメン食いたいなぁ‥‥。小綺麗な喫茶店を覗きながら思う。

「やっぱラーメンがいいですかね。」

ビクッとしてふりかえると、彼女が後ろに立っていた。

「え、口に出てました?」

「えっいや、ただラーメンの方がいいかなと思って。」

「なんで分かるんですか?!」

「当たり前ですよ、仕事依頼する身なんですから。リサーチぐらいしてます。」

彼女はふわっと笑った。

「じ、じゃあラーメンにしましょう!ぜひとも!」

「おーし!食べるぞ!」

彼女はこぶしをぎゅっとしてから、

「あっ、何か今、仕事で来てるのわすれかけた!変なの。」

ふふふふっと、僕の目を見て笑った。

モヤモヤする。なぜだろう。
でも本当に気分の悪いものではなくて、なんか、甘い。変なの。

結局、僕がこの辺に来ると必ず行っているラーメン屋さんに行くことになった。

「へいっ!らっしゃい!」

店に入ると、聞きなれた声が出迎えた。

「おっ!一希!世界選手権観たぞ!すごかったな。」

「ありがとうございます。」

「ん?こちらのお嬢さんは‥‥」

嫌な予感は当たった。

店長はクルっと台所をふりかえると、大声で

「おい!一希が彼女をつれてきたぞ!!」。

「やっぱり。」

僕より早く言ったのは、彼女だった。

「何かすいません‥‥。」

「いえいえ全然!大丈夫ですよ。」

あ、戻ってる。

さっき一瞬見た、素の彼女はいなくなって、仕事用の態度にすりかわっている。

なんだよ。

案内されて、向かい合うかたちの席に座る。
彼女は手早く注文をすませたが、僕はいつも通りなかなか決められない。

あれもいいこれもいいと、迷って無言でメニューを睨んでいると、視線を感じた。

「‥ん、何かついてます?」

「いえ、仕事の癖で。どういうカットを撮ろうかとか、どういうアングルがいいかとか、やっぱ撮りたい人を前にすると考えちゃって。すいません。」

口では、すいませんと言うものの、彼女の顔は真剣で、僕から目を離そうとしない。

ああ、仕事を受ければ、彼女はたくさん僕を、こういう風に見つめるんだな。

僕はミコさんに見られたい。

敬語じゃなくていいですよ?→←お仕事だから。



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サクラ - はらさん» ご指摘ありがとうございます!!助かりました(>_<) (2018年5月25日 0時) (レス) id: ebff37a161 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年5月24日 21時) (レス) id: 6df54d9be3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サクラ | 作成日時:2018年5月24日 21時

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