敬語じゃなくていいですよ? ページ5
「‥‥あのっ!プロモーションビデオ、出ます!」
何も考えず、思わず言ってしまった。
僕、こんなに大胆な性格だったか‥‥?
「えっとー、はい、ぜひ!でも、まだ何もお話ししてませんよ‥‥?」
困惑してるのは、僕だけじゃなさそうだ。
そりゃそうだよな。
「そうですねよね‥。あはは。何やってんでしょうね僕。」
僕は恥ずかしくなって、選ぶふりをしてメニューで顔を隠した。
ちらりと見ると、何だか彼女は嬉しそうだ。
「お決まりでしょうか。」
一度さがっていた店員が、急かしに来た。
「あ、はい、えっとー‥‥‥‥、味噌ラーメンで。」
ヤバイ、まったくメニュー見てなかった、と思いつつ僕は適当に目に入った物を注文した。
普段なら適当とかありえない。
「じゃあ早速、ご説明させていただいていいですか?」
店員がさがるのをみはからって、彼女は話しだした。
「私が今回撮るプロモーションビデオは、新しく立ち上げられたあるプロジェクトのためでして、そのプロジェクトのターゲットが、だいたい10代後半から20代前半なんですね?ちょうど私や、一希選手みたいな。」
ん?
「ん?」
「え?」
「失礼てすけど、ミコさんって今おいくつなんですか?
「えっと、19です。」
「‥‥年下??」
「そうですよ?」
心なしかニヤニヤしている。面白がっているようだ。
「えぇぇっ!ぜってー年上だと思ってた!」
「そうだろうなぁと思ってました。」
からかうような目で言う。
「言ってくださいよ〜。」
「ちょっと楽しんでました。すいません。」
ニヤニヤ。
「おいこら。じゃあ敬語なしで。でもミコさんもだよ?」
「え、は‥い‥。じゃあ続き話しま‥‥話すよ。」
「何か照れてる?」
少し仕返し。
「からかわないで下さいよ!」
「あ、敬語。」
「もう!続き話しますよ!で、そのプロモーションビデオを作る人もコンセプトに沿って、ほとんどの人が若者なんです。音楽担当のアーティストの方も20歳だし、私も19だし、一希選手の他の出演者の方もそのくらいで。」
「他の出演者って例えばどんな方ですか?」
「あ、敬語。」
彼女はニヤッとした後、
「例えば、卓球の伊藤選手や張本選手とか、最近話題のアーティストの崎山蒼志さんとか。」
と言った。
僕は、自分だけを撮ってもらえると思っていたことが恥ずかしくなった。
別に依頼を受けても、彼女が僕だけを見るようになる訳じゃないんだ。
バカやなぁ、僕。
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サクラ - はらさん» ご指摘ありがとうございます!!助かりました(>_<) (2018年5月25日 0時) (レス) id: ebff37a161 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年5月24日 21時) (レス) id: 6df54d9be3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サクラ | 作成日時:2018年5月24日 21時