赤いね。 ページ6
一瞬、瞳が曇った気がするが、
「お待たせしましたぁ〜。」と
店員が運んできたラーメンで忘れてしまった。
「うぉー、うまそうっ!」
あ、やっぱりすっごくチャーミングだ
な、この人。
にひひひひ、と鼻にシワを寄せて喜ぶ姿を見て、そう思った。
さっきの、ほんのちょっとの違和感は忘れていた。
「またカットとかアングルのこと、考えてたんですか?」
私と目が合うと、そらしながら言う。
割り箸を入れ物から2本出して、ひとつを手渡してくれた。
「あ、え、ごめんなさい、ガン見してました‥?」
「はい。」
目を合わせない。
頬が、赤い。少しだけ。
‥‥。
仕事だ。割りきれ、私。
「すいませんなんか。‥‥‥嫌、ですかね?」
「嫌じゃないです大丈夫です。」
友野選手の、いただきまぁーす!で会話は終わらされた。
「あの、変なこと聞きますけど、どうして僕を選んだんですか?」
今度はちっともそらさず、じっと見つめられる。
ダッテ‥‥。もう正直に言っちゃえ
「ビビッと、きまして。」
真剣だった目元が、ふっと緩む。
「もしかして、それだけ‥?」
「はい、まあ‥‥。っっでも!私みたいな撮る方にも、ビビッとするのは大事だし、友野選手みたいな魅せる方にも、ビビッとされるのは大事でしょう?」
一気にまくし立てた。かわいくねぇ。あーあ。
「大事。」
小さな声で呟いてから、友野選手は一気にラーメンの汁を飲んだ。
「‥‥っん。ぶはああ〜!」
うまかったぁぁ、と満足げな笑顔は、熱でほてって汗ばんでいる。
「よし!やりますよ俺!」
「やったぁ!」
俺。
「っあ、や、僕‥‥?んも、どっちでもええわ。」
「ラーメン食べると素、出る人ですか?」
「おう。」
「もしかして、敬語廃止ですか?」
「そや。」
「関西弁、解禁ですか?」
「嬉しそやなぁ。」
「別に。」
へへへっと笑って、
「よろしくお願いします。」
と机越しに頭を下げてきた。
「あ、こちらこそ。」
私も慌てて返す。
「撮影って他の方とやるんですか?‥‥やるの?」
「いえ、お一人につき一日で‥‥だよ。」
「じゃあ一日ビビッとさせま‥るね。得意やよ、俺。」
言いながら恥ずかしくなったようだ。
みるみる耳が赤くなって、「死ぬ。」
なんやの、その顔。
撮りたい撮りたい!とばかり思っていたけど、初めて、これは撮りたくないと思った。
ちょっと、他の人には見せたくないかも。
って何考えてんだか。でも、ほんとのこと。
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サクラ - はらさん» ご指摘ありがとうございます!!助かりました(>_<) (2018年5月25日 0時) (レス) id: ebff37a161 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年5月24日 21時) (レス) id: 6df54d9be3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サクラ | 作成日時:2018年5月24日 21時