diary.1 ページ3
Aside
正直、私は自分のこともよく分からない
でもそれなりに楽しく生きているつもり
稲妻の鳴神大社で巫女を務めている
どこにいてもおかしくない普通の妖
ただ、一つだけ
ほんの少しだけ
私には周りとは違うことがあった
この世に生を受けたその瞬間から
私の頭の中にある【物語】
その【物語】は寂しくて
温かくて
切なくて
苦しくて
とにかく、たくさんの感情が押し込まれたような【物語】
他の誰に話してもそんなものはないという
皆、生まれた時から【物語】は持ち合わせていないと
この不思議な感覚はきっと私にだけ
”とある人形の物語“
心を持たぬ空っぽの人形が
様々な人間と出会い、心を持つ
やがて人形は苦しみに耐えられず
人間に仇なす存在と化す
人形に寄り添う桜の木は悲しんだ
その人形を助けたいと
願いの為に命を燃やした
やがて桜の木の精は人形と絆を結んだ
しかし幸せな時間はそう長くはなかった
けれど、二人にとって
お互いを分かり合えるには十分な時間だった
人形は気づく
とうの昔に自分に生まれていた感情の波を
自分は怒り、悲しみ、喜ぶことができる
心があるのだと
友情と愛情の果てに
人形は心を得る
ーーーーー
ーーー
ー
満開の桜の大木が花びらを散らす
鳴神山の頂上
そこに鎮座するは鳴神大社
稲妻御建鳴神主尊大御所様を祀る神社である
神聖なる神社の境内
玉砂利を踏み締め小気味のいい音を立てながら走る
早く、早く伝えたい！
その気持ちが私の足を速める
本殿の裏手、神櫻の前には私が求めていた人物が立っていた
『八重宮司……っ、神子さま〜っ！！』
私の大声に対してなんの反応も示さず
ただ目線を動かし視界の端で私を捉える
無駄のない、洗練された動き…流石だ
神子「このような所で騒ぐでない、妾には大きな耳があるのじゃぞ…？」
神子さまの迷惑そうなお顔も今となっては問答無用
それよりもこの吉報を一番初めに伝えたかったのだ
『神子さま、私やりました！スメール教令院への入学が…無事決まりましたぁ〜っ！』
喜びのあまり勢いで掴んできた入学案内を握りつぶす
神子「ほう……それは大層なことじゃ」
『神子さまぁ……っ、…もっと褒めてくださいっ』
浮かれた私の額を
神子さまは調子に乗るなと指でピシリと弾かれた
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ついんてーる(プロフ) - すごく面白いです！主さんの物語の構成など前作から感動してます！これからも頑張ってください！ (2月29日 21時) (
レス) @page15 id: 7609cb840c (このIDを非表示/違反報告)
夜月 サキ - 投稿待ってます！ (2月3日 19時) (レス) id: 911abfc5cd (このIDを非表示/違反報告)
おりんぽす(プロフ) - ふわなさん» ご感想ありがとうございます！とても励みになります〜˚✧₊⁎今後の展開にご期待ください☺️ (1月7日 20時) (レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - お話とっても面白いです！ちょっとドジ(？)な夢主ちゃんをなんだかんだ気にかけちゃう放浪者かわいいです…！！更新頑張ってください！楽しみにしてます！！ (12月30日 1時) (レス) @page27 id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
おりんぽす(プロフ) - 夜月 サキさん» 初コメありがとうございます！更新の励みになりますううう！ (12月26日 18時) (レス) id: f4e7ffa9c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おりんぽす | 作成日時：2023年11月27日 22時
