《読み切り/AS》シャッター迷えど刻めよ時間 (ページ11)

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four/アトムページ11

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初めてカメラのシャッターを押したのは何歳の時だっただろう。

じーちゃんの趣味がカメラだった影響で、気が付けばカメラを触るようになっていた。

そしていつの間にか、カメラは俺の職業になった。

一番最初に何を撮ったのかなんて全く思い出せない。

ただ、子供心にカメラマンになりきるのが楽しくて、家族で旅行に行った時には絶対にカメラを首にかけたまま手離さなかった。

『マサキくんが今一番欲しいものはなぁに?』

小学校の先生にそう聞かれたとき

『カメラ! カメラが一番!』

と言って小学生にしては大人びた物を答えたせいか先生に笑われたっけ。

そんな俺を見たじーちゃんが、ついに俺のためにカメラを買ってくれた。

生まれて初めて手にした自分のカメラに、俺はアトムと名前を付けた。

その当時じーちゃんとばーちゃんが飼っていた犬の名前だった。

引っ越しから一週間ほど経った。

段ボールもほとんど片付いて、残っているのは古いネガなんかが入った段ボールと、アルバムが入った段ボールだけ。

ネガの方はこのまましまっておくのがいつもの俺のやり方だ。

だから、残るはこのアルバムだけなんだけど。

「これが大変なんだよな……」

俺の性格上、ついつい撮った写真を溜めてしまい、気が付けばアルバムが増えに増えて、いい加減ちゃんと整理しないと背表紙に分類が書いてあっても中に何の写真が入ってるのかわかんない。

だからといって考えていてもしょうがないから、棚に入れようかと段ボールの箱を開いた。

「あ……」

段ボールの中に詰められたたくさんのアルバム。

その一番上にあったのは緑色のアルバムで、背表紙に『アトム』と書かれていた。

ずいぶん懐かしいな。

思わず手にとって中を開けば、じーちゃんやばーちゃんが写った写真。

犬のアトムが写った写真。

公園のブランコ。

庭の木。

家のキッチン。

集合写真みたいな写真からどうして撮ったのか理由のわからないような写真まで。

俺がまだ自分のカメラを手にしてそう経っていない頃。

俺の相棒でもあるアトムで撮った写真が収められているアルバムだった。

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