愛玩動物 Ⅱ【wrwrd】 (ページ24)

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四十一話ページ24

アレンが居ない。十個くらい本棚を通ったけど居ない。
こんなにも広いのかここ。

そう思って歩いていると本棚を背もたれにして座って本を読んでいるアレンが居た。

『あれーん……ん？』

アレンが読んでる本は馬の本のようだけど何だか悲しそうな顔をしている。

ar「ん？あ、A…どう？調べ物終わった？」

『うん、というか聞きたいことあるんだけど良い？』

「何？」と言う返事を聞いたあとそのさっき開いていたページを開けてアレンに見せて指を指した。

『これってほんとなの？皆走るのが好き？』

ar「うーん。僕の仲間は好きなやつばっかだね」

『？仲間は、ってことはアレンは好きじゃないの？』

そう俺が聞くとアレンが一気に悲しそうな顔をしだしたから聞いちゃいけないことをきいたのかと不安になる。

あわあわしてると弁明しようとしてるのかごにょごにょ手を動かしながら何かを言っていた。

ar「僕…足遅いのがコンプレックスでさ…あんまり走るの好きじゃないんだ…足の速さのことでいじめられたこともあるし…幹部の人たちも協力してくれてるんだけどまだ治らなくて…」

そう暗い雰囲気で語るアレン。
なんか申し訳なくなってくるな…

二人とも黙っているとかき消すように何処かから鐘の音が聞こえた。

ar「教会の鐘だ…」

そう言って首に下がっているペンダントのような物を手に取りみると驚いたような顔をした。

ar「！就寝の時間だ！ヤバい先輩に怒られる！！Aは部屋決まってる？」

『ゾムさんと一緒って…』

そう言うとアレンは急に俺の本と自分の本を本棚に戻して俺の手をとって図書室を少し早く歩いて出た。

そして右にずっと歩いて行った場所にある扉の前で止まった。

ar「はい。ここがゾムさんの部屋だよ。今は居ないみたいだから待ってれば来るよ。寒いし上着貸してあげる」

そう言うと来ている上着を俺に手渡してくれた。
そしてまた明日と言って図書室の方に歩いて行った。

座って待ってようかな。
扉を背にして三角座りをして貰った上着を膝に掛ける。

いい匂いがする。お花の匂い？か分からないけど…

何だか安心してくるな…
眠くなってきた。

寝てもいいかな…良いよね。
そう思いつつ瞼が重くなって来ることを感じていた。

暗転。