はぁ…また天女サマですか。【忍たま乱太郎】

六話 ページ8

──夢主side

しばらく考え込んでいる間に辺りはすっかり暗くなってしまった。
今ふと思ったのだが、食事やら厠やら風呂なんかについてはどういう制限がかかるのだろうか？
もちろん贅沢を言うつもりは無い。
風呂などは特に入らなければ死ぬわけでもないからどうでもいい。
問題は食事と厠。
彼らは天女(わたし)を死なせたくはないようだった。
ということはつまり、死なない程度の生活の世話はしなければならないということ。
だとするならば…

「失礼します天女様。お食事をお持ちしました。」

…………あーはん？
驚いた。平仮名英語を口走ってしまいそうになるくらいには。
さすが山本シナ先生。
音もなく戸口に立つことなんて造作も無いのだろう。
今の内から慣れておかないといつか心臓が飛び出してしまいそうだ。

『あ、りがとうございます。』

驚きを引き摺って、少し吃ってしまった。
山本シナ先生はそんなこんなを全てスルーしてテキパキと食事の準備をして下さっている。
流石です。

うん、この際だからついでに聞いてしまおうか。

『食事の支度、ありがとうございます。
少しお伺いしたいことがございまして、私の今後の生活についてなのですが……
お時間少々頂いてもよろしいですか？』

「…………」

山本シナ先生はうんともすんとも仰らないが、体をこちらへ向けてくださったし聞いてもいいということだろう。
相変わらず警戒されているのに丁重な扱いというのは慣れないものだ。

『今日はあなたが持ってきて下さいましたが、今後も食事はこの部屋で取るということでしょうか？
また、排泄に関する事なのですが、厠へ行くのは私ひとりでも良いのでしょうか？それとも誰か監視の方が？』

「それらの議論を含めて、現在学園長の庵にて学園の先生方が会議を開かれています。
お食事が済みましたら天女様もそちらへ向かっていただきます。」

それだけ言い終わると、すっと気配を消して後ろの壁際に待機する山本シナ先生。
なるほど理解した。
要は「早く食べろ」ですね。

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