はぁ…また天女サマですか。【忍たま乱太郎】

五話 ページ7

宿舎。
案内して下さった山本シナ先生にもやはり警戒されていた。
喋る言葉も必要最低限。案内役だというのに常に後ろを歩いていたのも考えると、まだ相当なものだ。
まぁ...紙と筆を頼んでもすぐに持ってきてくれたところを見ると、すぐさま殺されるほどではないだろう。
.....そう思うことにした。

紙と筆を頼んだのは今の状況を自分でも少しまとめておきたかったから。
さっき聞いたことも含めて。

『しかし、一番伺いたかったことを聞けなかったな...』

そう、現在の状況の中で一番の疑問。
“何故天女(わたし)を学園に案内したのか”
学園長先生は下級生への被害を防ぐためだと言っていたがそれはおそらく真実ではない。
実は森から学園まで、森の中を観察しながら歩いた。
新しい足跡はなく、草木も最近人の手が入ったようには見えなかった。
それに、先程の五・六年生でさえトラウマを持つような出来事があったらしい。
にもかかわらず、その下の学年の子らが裏々山で遊ぼうとなんて思うだろうか。
つまり、下級生を慮ってのことだという話は嘘とまでは言えないが、真意だとも到底思えない。

――それに、

『私のことをあの場で殺しておけば良かったのに。』

何故そうしなかったのか。
別に死にたかったとか、そういう趣味を持っているわけではない。
面倒なことが起きる前に侵入者を排除する。
それが彼らの最善だったのではないかと、純粋にそう思うだけだ。

潮江文次郎さんがまだ学生だったから殺せなかった？
忍術学園の六年生ともなればそんなわけない。
もし殺せなかったのだとしても、忍術学園の先生方なら誰でも簡単に実行できるだろう。

この事から考えるに、彼らは天女に何かしらの事情を持っているのだという推測が立つ。
天女の力が必要.....？

そういえば、今までの天女たちは初めから自分の術を持っていたのだろうか？
この世界に来たからだとしたらどうやって術を自覚し、どうやって使用したのか。
それに、今までの天女たちの行方は？
彼女らは一体どこへ？

.......この質問はもう少し日が経ってからの方がいいな。

いつの間にかもらった紙は文字で真っ黒になっていた。


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？？side

「なんで天女が“死にたい”なんて....っ」

彼女は今までの天女たちとは何かが違う。
そう、私の直感が言っている。

「学園長に報告しなきゃね。」

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