【一おそ】染まれ染まれ。 1 ページ2
※マフィマフィ・ヤンデレ
《ねえ、お兄さん。本当はもっと欲しいんでしょ。物欲しそうな顔してるよ〜?》
《あ……、あ、欲しいです……でも、もうお金が……》
耳につけたイヤホンから、別室の音声が聞こえてくる。設置された盗聴器が拾っている会話だ。
本来は対象者の私物などにつけるべきなのだろうが、おそ松はそんな隙を見せてくれないのでやむなく各部屋に設置しているのだった。
《そうそう、人間欲望に素直にならなきゃ! 大丈夫大丈夫、お金のことなら俺に任せてー、お兄さんのためにさいっこうのお金貸してくれるところ紹介するから!》
《あ、でも、そういう所って利子が……》
《心配しないで! あいつらも意外と良心的なんだよー? それに俺がちーゃんと言い含めておくから! だからー、お兄さんは全部俺に任せて、薬、楽しんで? ね?》
ああなんて素敵なんだろう、と恍惚とした声で呟く。
おそ松のちょっと低い含みのある声が、一松の耳朶を心地良く刺激する。体に快感が走った。
《あっありがとうございます……》
《もう、俺お礼言われることなんてしてないよー? ただお兄さんが気に入ったからちょっと
助言してあげただけ!》
交渉が終わったらしく、それから二言三言話すと部屋から声が遠のいていく。
一松は耳からイヤホンを外すと、落胆にも似たため息を吐いた。
おそ松は松野ファミリーのボスである。基本的にボスは暗殺などの危険を避けるため、表には出てこないのが普通だが、生憎うちのボスは普通じゃない。
人の感情の機微の感知にも長け、交渉担当よりも遙かに交渉術が優れている。その上、松野ファミリー最強の強さを誇るおそ松は、おとなしくじっとなんてしていてくれなかった。
次男であるカラ松をボスに見せかけ、こういう小さい仕事でもばんばん表に出てくる。少しは自重して欲しいところだが、周りは怖すぎて進言なんてできないし、進言してくれそうなチョロ松はもはや諦めていて、どうにもできない。
一松はファミリーの財の管理と拷問を担っている。ちなみに財の管理が主だ。一松以外は皆、計算に弱いのである。
立ち上がり、部屋の中を見回す。一面おそ松の写真が貼られていた。もちろんほとんど隠し撮りだ。
最近のお気に入りのおそ松の無防備な笑顔の写真に、そっとガラスであるかのように触れる。
(兄さんのキレてる写真欲しいなあ…………)
きっと、とても良い顔をするに違いない。
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野口 - 今回のお話は、なんて言うか、さすが兄さんみたいな感じで、かくなるうえは!新星病みこわかわいい! 次回のお話もとても楽しみにしてます! (2017年11月14日 22時) (レス) id: 19852ab4e1 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 読むの遅くなりましたが、今回も最高でした!パーカー松本当に好きで、自分好みの文章を書いてくださるAsterさんに、自分好みのお話を書いていただいて本当に嬉しいです! (2017年11月14日 22時) (レス) id: 19852ab4e1 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» ありがとうございます! 更新が遅くなって申し訳ありません! 今回の話は全然自信が無いです……。時間を見つけてぼちぼち執筆していきますのでよろしくお願いします。 (2017年8月15日 18時) (レス) id: 6f6df49f3d (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新作おめでとうございます! (2017年1月19日 18時) (レス) id: 9a188fa29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Aster | 作成日時:2017年1月13日 22時