【オリオンの刻印】間違えて日本代表に選ばれちゃった系女子、世界を相手に奮闘する。

その３：神様はかなり手厳しい ページ4

☆



やや時は進んで、早くも代表選手発表の時間がやってきた。

読者の皆様は既にこの場面の結末は大方予想できているだろうが、どうか最後までほたるの焦燥っぷりを見守ってあげてほしい。



『──なんという大歓声でしょうか！ 今、とうとう世界への扉が開かれようとしています！！』



会場を湧き立てるように流れるアナウンスを、ほたるは右から左へと聞き流しながらぼーっと会場の中心を眺める。


正直内心気が気ではないが、ほたるの算段ではこの後自分の名前は呼ばれないまま呆気なく発表は終わり、晴れていつも通りどこにでもいるJC・六連星ほたるとして颯爽と帰路につく予定なのである。

事細かくビジョンを描いてしまえば、案外不安は拭えてしまうものだ。少なくとも、今までほたるはそうやって不安を拭ってきた。



「(早く帰りたいもんだよ、ったく……)」



栄光ある候補者席からため息をつく人間なんて、きっとほたる一人しかいないだろう。

選ばれたくても選ばれなかった人間もいるというのに、六連星ほたるとはなんて贅沢な人間なのだろうか。



『みなさん、メインスクリーンにご注目ください！ 趙金雲監督によって、代表メンバーが発表されようとしています！！』



アナウンスの声に一斉に会場中が口を噤んで、先程までの盛り上がりが嘘のようにしん、とその場に沈黙が流れる。

当然ほたるもそのうちの一人で、雰囲気に圧倒されながらもアナウンス通りじっとスクリーンに目をやっている。彼女の動悸はただいま最高潮である。


ドラムロールの音に合わせて日本代表監督と思わしきふくよかな男性が会場の真ん中で赤いスイッチを押すと、ついに会場じゅうの注目の的であるスクリーンに映像が流れ始めた。

どこぞのアーティストの曲に合わせて、スクリーンには次々と選手のものであろうシルエットが映し出されていく。


最後に日本代表チーム・イナズマジャパンのロゴが映し出されたところで、ついにムービーに合わせて選手の発表が始まった。



『──FW、豪炎寺修也！ 灰崎凌兵！ 吉良──』



以前行った大会か何かの時の映像だろうか。それぞれの選手の試合映像と共に、次々に代表選手の名前が発表されていく。

一通りFWの名前が呼ばれ終えたところで、今度はMFの名前が順に呼ばれていく番だ。


7名ものMFの名前が呼ばれ、誰もが「MFはこれで終わりか」と思った、その瞬間だった。




『──六連星ほたる！』




──スクリーンに映し出されていたのは、"MF 六連星ほたる"という大きな文字と、いつ撮ったのかも分からないノリノリで決めポーズをかますほたるの姿だった。

その４：ハロー、ミス・プレアデス→←その２：回転速度と結果は残念ながら比例しない

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す