10 f side ページ10
.
えおえおの家に向かう途中、あろまに身代品を要求されたことを思い出してコンビニに入った。
チョコが染みたやつと期間限定の炭酸飲料をカゴに入れて、えおえおにはコーラ、Aちゃんはレモンティーとかが無難かな。
ありがとうございました〜という気だるげな声に送り出されて、歩きながら深呼吸をした。
「キンチョーする…」
別れた日から季節が変わろうとしてる。
そのくらい久方ぶりに会う、から当たり前に緊張する。
あろまの野郎のせいでこんなことに巻き込まれて迷惑してないだろうか。
俺が未練がましくため息ばかりついてたせいで、はぁ…。
「……着いてしもた」
______________________________
ピンポーン…
インターホンを押す指が心做しか震えてるように見える。うん、ダサい。
「よ、あろまに乗せられて、わりぃ」
「ほんとよ」
「とりあえず上がれよ」
「お邪魔しまぁす…」
家主に通されて心拍数が絶好調。いや、絶不調か？
ぶっ倒れんじゃねえかってくらいバクバクしてて、リビングまでの道のりが登山並みにつらい。
ガチャ…
ゆっくりドアを開けると、胡座をかいて座るあろまと、三人分くらい間を開けて座るAちゃん。
落ち着くことを知らない心臓がまた跳ね上がった。
「Aちゃん、あろまがごめ、何もされてない…？」
「は？なんもしてねえべや。な？」
『あ、うん。なんか、仕事帰りに駅で会って、ここに連れてこられた、みたいな』
「ほれ」
「それ拉致って言うのよ先生」
話してみれば案外普通で。
別れたカップルってこんなもんなの？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：二子 | 作成日時：2019年6月3日 13時
