愛していたかった (ページ12)

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ギョッとした顔のえおえおさんとあろまさんが足早にリビングから消えた。
彼らなりの配慮なのか、ティッシュ箱をポイッとふぶちゃんの右横に放り投げていたのを私が手繰り寄せる。

『また泣かせちゃった』
「ん、ごめん…」

ティッシュを2枚手渡すと、ごめんね、ありがと、と顔を隠すように俯いた。
その姿があの日を思い出させるようで、胃のあたりがキュッと締め付けられる。

私こそ、ごめんね。

そう口を開く前に、鋭い彼の目が私を射抜いた。

「俺、元気にしてたよ。ちゃんと飯も食ってるし、何なら体重増えちゃったかもってくらい」

「いっぱい寝てるし、すげえ笑って過ごしてたよ」

「Aちゃんは、元気に、してた？」

涙をこらえるふぶちゃんの言葉は、どれもこれも嘘ばっかりで。

彼の上手な嘘に面白いくらい引っかかっていた私なのに。無理に笑う口元が震えているのを見逃さなかった。

いつからそんなに嘘が下手になったの。

もっと上手く騙してよ。

「こんなこと言ってAちゃんは困るかもしんないけど、」
『うん』

「まだ大好きだよ。多分、これからもずっと大好きだよ」

ニカッと笑う彼の表情には、嘘なんて微塵も感じ取れなかった。

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