【歌い手】ハード・モード (ページ13)

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「どっかで休みましょうよ…お腹空きましたし…」

と、ヘバりこんでいるまふまふ。
まあ、引きこもりが渋谷に出掛けるなんて端から無理な話なのだ。最初から大体分かってた。

「俺、そこのレストランでパスタ食べたい」

「え…僕、今そこのカフェでパンケーキ食べたいです。」

お互い指差す方向は反対。
大体、お昼ご飯がパンケーキってなんだ？いい年した男が何言ってんだよ……

「じゃあ、そこのカフェが混んでたら、レストランにしろよ」

「はい！」

俺はまふの返事を背で聞き止め、カフェ入る。まあ、多少混んではいるが空いてる席が無いわけではない。が、混んでたと言ってしまおう。そう思いながら店を出ようすると、角の方の席に座ってる女の子が何やら男に捕まってるのが見えた。助ける？嫌々、面倒事になるのはごめんだ。けど、あの女の子凄い可愛いんだよなぁ……ナンパする男の気持ちも分からなくはない。

「私パンケーキ嫌いなので」

彼女が笑顔でいい放った言葉は遠回しに迷惑と言っているのが俺にも分かる。それでも男は引き下がらない。ラ○ンがどーのこーのと聞こえてくる。流石に彼女も腹を立ててる様だあからさまに嫌そうな顔をしている。

やっぱ、助けた方が良いのかな……

「あの…この子困ってるように見えるんですけど…」

女の子の前に立って言うと男は顔をしかめた。

「なんか……可哀想なんでやめてあげて下さい。」

………すっごいかっこ悪いな俺。
他に言うこと無いのかよ……。
と、自分と言う引きこもりを責め立てていると、ナンパ男達は店から出ていった。

「あ……大丈夫ですか？」

『全然大丈夫です……ありがとうございました。』

改めて見るとやっぱり綺麗な顔立ちをしていた。綺麗だけど、どこか幼い感じもする。

「いえ……別に大した事でも無いので……じゃあ…」

まふまふも待ってる事だし、早く店から出よう。

「そらるさん！かっこよかったですね！」

「え……見てたの？」

「勿論ですよ～」

まふまふのニヤニヤした顔が腹立ち、眉間にシワを寄せる。

「まあ、でも……」

「？」

助けて良かった。……気もしなくもない。

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