小さな背中、大きな優しさ【ワールドトリガー】

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『戦闘体活動限界 緊急脱出』






その言葉と同時に背中に感じるベッドの感触





鋼との10本勝負


最後はほぼ同時の様に思われた





けど違う





あたしにはわかった
多分、見ていた荒船にもわかっただろう


最後の一本、手を抜かれていた



鋼の目が迷ってた







自分でもわかってた

鋼に追い抜かれてたことなんて




鋼はすっごい努力家だ

それにサイドエフェクトも合わされば追い抜かれるのなんて時間の問題だった




けど、それはそれで師匠としては嬉しいことだ

もう守れないと思うと悲しいけど







結果を見ればあたしの得点になっている


最終的に5―5の引き分けだ






けど実際は6―4だ







ブースを出れば他のC級やB級隊員がなにやら
盛り上がっていたがそんなのどうでもいい








荒船と先に出てきていた鋼の元へ向かう







「あ、A。
やっぱり勝ち越すのはなかなか難し＿＿」




「何で最後手を抜いたの」


自分でも驚くぐらい低い声だった





荒船はため息を
鋼は目をこれでもかと見開いた






「鋼は、これからもあたしが相手なら手を抜くの？」




その一言から先は何を言ったか
ほとんど覚えてない



それぐらい腹が立ったし悲しかったんだと思う









次の日からあたしはブースに行かなくなった

学校でも極力鋼を避けた







そして一週間もしないうちに弧月を手放した

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