拾八 ページ19
「…はい?」
少女は耳を疑った。
______仲間?仲間だって?そんなの名前だけで都合のいい奴 隷じゃないのか
少女には仲間と言いつつも非道な行いをする人達にしか見えなかった。出会って数日の人達を信じろと言う方が無理な話だ。少女はカラ松も似たような事を言っていたのを思い出すと全員が敵に見えて仕方が無かった。怒りがふつふつと沸き上がる。
「…それを,断ったらどうなるんですか。私の弟や妹を傷付けるって脅すんですか」
「そんな事しないよ〜。弟や妹大好きな君に復讐されたくないしね」
少女は赤の顔を睨むように見る。赤は飄々とした態度で言葉を返す。少女は怒りに震える。
______お金を掛けないで簡単に,自分達の命令を聞く奴が欲しいだけだろう
「…なら,断ったら私はどうなるんですか。始末されるんですか」
「さっきから発想が怖いって〜。マフィアなんて信じられないのは分かるけど,もう少し心開いてくれっと嬉しいな〜」
けらけらと笑って言葉を返す赤に少女は嫌悪感しか感じられなかった。何も話さず少女を見詰める五人も,人をおちょくる様な態度の赤も,少女にとっては嫌な人達でしか無かった。
早く弟妹の所に返してくれ。少女がそう願った時だった。
「______Aちゃんが仲間になってくれたら,俺達が君の弟妹を安全な所へ匿ってあげる。何の不自由の無い暮らし。会わせてあげる事は出来ないけど。悪い話じゃないと思うよ?」
先程の巫山戯た声とは異なった真面目な赤の声。少女は赤の後ろに立つ五人と赤の顔を順々に見ていった。嘘を着いている顔には見えなかった。全員が少女の方を向き少女を見ている。
「…それ,本当に約束してくれるんですか」
少女は考える。弟妹達の本当の幸せを。
「弟や妹が,幸せに暮らせる場所に…売られない場所に,連れてってくれるんですか」
少女は考える。弟妹達の気持ちを。
「嗚呼,約束するよ。…いや,契約と言ってもいい。君が俺達の仲間になる代わりに君の弟や妹の幸せを保証する」
少女は考えた。弟妹達はまだ小さい。やり直すのなら,今であると。
「…よろしく,お願い…します。」
「…って事は?」
「私を,おそ松さん達の仲間にして下さい」
少女は決断した。自分が弟妹達から離れる選択を。弟妹達が幸せになる未来を。
おそ松は弟達と顔を見合わせる。嬉しそうに笑ったおそ松は立ち上がる。
「勿論!これからよろしくな。A」
Aはおそ松が差し出した手をとった。
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水無瀬(プロフ) - ペコまる。さん» はじめまして。有難う御座います。一応年齢設定としましてはおそ松達は20代前半,夢主は16~17辺りのつもりで書いておりますが,何せ栄養不足の発育が悪い状態ですので少女表記にしております。 (2019年9月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
ペコまる。 - とっても面白いです!ところで何歳くらいの設定ですか? (2019年9月8日 18時) (レス) id: efabf24793 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 紅夜の黒猫さん» はじめまして。有難う御座います。楽しんで頂けたのでしたら幸いです。とても励みになります,頑張ります。 (2019年8月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
紅夜の黒猫 - 水無瀬さん» はじめまして。作品読ませてもらいました。とても面白いです。設定といい、内容といい、よくできてますね!続き楽しみにしています (2019年8月6日 15時) (レス) id: 49d4392d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 暇人さん» はじめまして。有難う御座います。とても励みになります。楽しんで頂けたのでしたら嬉しいです。この先も作者の妄想にお付き合い頂けましたら幸いです。 (2019年7月16日 8時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無瀬 | 作成日時:2019年7月14日 2時