六 ページ7
「にーさんこっちこっち!」
「こんなに奥なのか…」
一夜を越せば路地裏に2つの影。青と黄だ。
布と一致する微かな香りを頼りに入り組んだ路地裏の奥へと進む2人。
二人の声が路地裏に響く。
「近くなってきたよー!」
「しーっ!静かにだ,十四まぁ〜つ?シャイなカラ松girlが逃げてしまうだろう?」
「あい!」
「十四まぁ〜つ?」
「あい!」
大きな声の十四松にカラ松が注意する。然し注意も虚しく十四松の声は一向に小さくならない。困りながらも十四松の後ろに着いて行くカラ松には兄の威厳というものは見当たらなかった。
「見付けたよー!」
「!!」
床に寝転がる6人を見付けた十四松は思わず大きな声を出し眠っていた6人は飛び起きる。何だ何だと混乱する下5人を余所に少女は5人を守るように立つ。
「…私達に,何か用ですか」
震える声で睨み付けるように青と黄を睨み付ける。
唯でさえ暗い路地裏の中,明け方では背の高い二人の顔など少女から見えるはずも無かった。
「待ってくれ,カラ松girl。俺達はお前達に危害を加えるつもりなどないさ。」
多少陽の光が指すとそこには同じ,然し何処か違った顔が二つあった。少女は青の顔に見覚えがあった。あの財布を擦った人物だからだ。
「あ…あの時の…」
少女の顔が青ざめる。嗚呼遂に死刑宣告だと言わんばかりの表情で。
「怯えないでくれ,カラ松girl。俺は君に礼をしに来たんだ。これを巻いてくれたのは君だろう?」
黄の持つ襤褸布を見せる青に財布の事に着いて文句を言いに来たのでは無いのかと安堵の息を洩らし力が抜けた様子の少女に黄と青はどうしたのかと顔を見合わせる。
「ええと…青色,さん。私は貴方に御礼を言われるような事はしていません…」
カラ松girlと言う言葉は聞いてはいるものの少女にはなんの事か分からない。名前が分からない青に言葉を発すると隣の黄の目線が痛い。
少女はそっと青色の財布を出す。何を言いたいのか分かったのか青はフッと格好つけた笑いを浮かべては話し出す。
「俺はカラ松だ。俺の財布がgirlに盗られていたことなど知っていたさ。俺はgirlのそのスキルに惚れたんだ。俺達と共に来ないか?」
思わぬ事を言われた少女は何度か瞬きをし状況が飲み込めずにいるようだ。
「急に言われても混乱して分からないだろう。また来るからその時までに話を聞くか聞かないか考えておいてくれ。」
そう言い残し財布を受け取ったカラ松は黄と共に路地裏から消えていった。
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水無瀬(プロフ) - ペコまる。さん» はじめまして。有難う御座います。一応年齢設定としましてはおそ松達は20代前半,夢主は16~17辺りのつもりで書いておりますが,何せ栄養不足の発育が悪い状態ですので少女表記にしております。 (2019年9月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
ペコまる。 - とっても面白いです!ところで何歳くらいの設定ですか? (2019年9月8日 18時) (レス) id: efabf24793 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 紅夜の黒猫さん» はじめまして。有難う御座います。楽しんで頂けたのでしたら幸いです。とても励みになります,頑張ります。 (2019年8月8日 21時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
紅夜の黒猫 - 水無瀬さん» はじめまして。作品読ませてもらいました。とても面白いです。設定といい、内容といい、よくできてますね!続き楽しみにしています (2019年8月6日 15時) (レス) id: 49d4392d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬(プロフ) - 暇人さん» はじめまして。有難う御座います。とても励みになります。楽しんで頂けたのでしたら嬉しいです。この先も作者の妄想にお付き合い頂けましたら幸いです。 (2019年7月16日 8時) (レス) id: 7d743ed39b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無瀬 | 作成日時:2019年7月14日 2時