オキナグサの行方

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Ki side


ピピッ
ピピッ


ハッとする音がした。

音がする方に目を向けるとカメラが光っていた。
あれから何分経った？確か30分で始まると言ってたよな…




今何時だ？




ってか俺びしょびしょじゃねぇか。
セットした髪もメイクもぐしゃぐしゃだ。
完全にやらかしてる。
やばい、どうやって謝ろう？




カメラマン)北山さんそのままで！
目線外してください！




K)え…？




カメラを構えたままこちらにさらに近付きながらそう指示してくるその人。



なにが起こってる？撮影してる？
混乱する頭で理解しようとするが到底追い付かない。



K)え、これ、ここで撮影、ってことですか？
髪とか、メイクとか、ほんとにすみません！
すぐ衣装も着替えて…



カメラマン)いえ、このままでいきましょう！
先程、アシスタントが探しここへに来たんですが、連絡があって急遽こちらにきました。
出来ればこのままお願いしたいです！



K)え、でも、



カメラマン)今回のコンセプトは『愁い』です。
イメージも今の北山さんの雰囲気もぴったりなのでこのまま進めたいのですが…




K)……分かりました、





時間を気にしていなかったのも探させてしまったのもこちらの不手際だ。
しかもずぶ濡れときてる。
あまり強くは出られない。

しかもこのためなのかカメラは簡易的ではあるが雨避けまでされている。
断る選択肢は潰されていた。





そういえばさっきの穴は…？
視線だけを動かして探すがあの黒い穴はもうどこにも無い。






捨てさせてはくれないのか。









鍵を掛けて沈めたものはまだここにあるままだった。









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