悪役令嬢、魔王目指しま〜っす。

第七話。 ページ8

さて。私の誕生からまたさらに時間が経ったわけだが…


実は私、寝返りが打てるようになりました。


それだけじゃない。座ることもできるようになった。


これはかなりの進歩だ！！


それにしても。


普通の赤ちゃんってこんなに早く座れるようになるもんだっけ？


まぁそこは…転生特典てきなものだと思おう。うん。


最近はかなり話せるようにもなってきたしな…。


…というか公爵、ほんとーに私に会いにこないねー…。


いいのかィ、パパ？今が可愛い時なんだよ？知ってる？


まぁ、会いたいわけではないけど…。


使用人は相変わらず、あることないこと噂しては私を罵り、


そして帰っていく。


マジで意味わからん。この世界は本当に意味わからんことだらけ。


さて…今日は立つ練習でもしようかな。


「うぅ…。」


ゆりかごの淵を掴んで足と腕に力を入れるも、あとちょっとのところで立てない。


まだ筋力が足りないのか…クソ！


まだまだぁっ！！


「あ…い…う…え…おっ！」


あいうえおを掛け声に、もう一度力を入れてみる。


んんー！！あともーちょい！


「しぇー…のっ、あ、い、う、え、おぉっ！」


思いっきり力を入れると、ゆりかごが傾いて…


「あり？」


ガッターン！とひっくり返ってしまった。


うごぉぉぉお！！いってぇえ！！体中いてぇぇぇえ！！


私は思いっきりゆりかごの外に投げ出されてしまった。


幸い、頭から落ちはしなかったため、命に別状はないと思われる…が。


痛い…いたぁぁぁい！！


体中いってぇのなんのって…。


というか、こんなでけー音してんのに誰も来ないのかよ。今日も嫌われてますね、はい。


「何やってんだよ、チビ。」


体中痛くて悶えてる私に、誰かが声を掛けてきた。


風がふわりと私の頬を擽る。


たった一つだけの窓を見れば、千と千●の神●しに出てくるハ●みたいな髪型の少年がそこにいた。


少年は透き通ったような緑色の髪を風で揺らしながら私を見ている。


コイツ…誰だよ。何者だよ、公爵家にやすやすと侵入するなんて。


そんな私の考えなんて気にせずに、少年は一人話す。


「お前…不思議な魂だな。ただのチビじゃねぇな？」


少年は首を傾けながら私をジッと見た。


今、不思議な”魂”って、言った？


この世界で人間の魂を見たりできるのは…、


「じゃいしぇーれー？」


まだきちんと呂律の回らない口で、私はそう呟いた。


少年は私の言葉を聞いてニヤリと不敵に笑った。

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