第八話。 ページ9
「お前…チビのくせに物知りなんだな?それとも、その不思議な魂の形が関係してんのか?」
少年は私の傍へとやってきて、珍獣でも観察するかのようにじろじろと見た。
「じゃいしぇーれーってことじぇあってりゅの?」
あぁ…腹立つわ〜、何が悲しくて大学生の女が赤ちゃん言葉使わなきゃなんねーんだよ…。
そんなことを思いながら、少年に確認を取る。
「あぁ、そうだ。俺サマは風の大精霊、ウルキオ様だ!」
ウルキオは胸を張ってニヤリとしながら自慢げにそう言った。
「へぇ。」
私はそんなウルキオにあえてその一言だけを言った。
「お、おい!もっとなんか反応しろよ!大精霊なんだぞ!?大精霊に逢えるなんて、滅多にないことなんだぞ!?すごいことなんだぞ!?」
ウルキオは必死に自分のすごさをアピールする。
みんな、知ってた?こういう俺様系…てか、生意気なガキんちょにはね、
興味を示さないことが一番有効なんだよ。
「ありゃ〜、しょうれしゅかしょうれしゅか。しょれはしょれはしゅごいれしゅねー、よしよしー。」
「オイ!思ってねぇだろ!馬鹿にしてるのかぁ!?」
赤ちゃん言葉でバカにされると余計に腹立つだろう?あっはっは。
「お前…俺のすごさを何もわかってないな!?そこまで言うなら見せてやる…俺サマの力を!」
ウルキオがそう言うと、風がふわりと私の体を包んだ。
すると…みるみるうちに、痛みが引いていく。
「え…?にゃんれ?」
「ふっふっふ、見たか!俺サマの力を!」
ウルキオは自信満々にそう言うが、私はそれよりも気になることがあった。
「なんれ、けががなおったの?」
「それはな…この俺サマが力を使ったからだ!」
我を崇めよと言わんばかりにウルキオはそう言うが、私が聞きたいのはそういうことじゃない。
「けがをなおしゅのは、みじゅとひかりといびゅきれしょ?」
私がそう言うと、ウルキオはぴたりと動きを止めた。
そう。
ウルキオは、風の大精霊だと言った。
でも、怪我を治したり、何かを癒したりできるのは水・光・息吹だけ。
精霊は人間とは違い、自分の属性以外の魔法は使えない。
いくら大精霊でも、だ。
それなのにウルキオは堂々と私の怪我を直した。
それはつまり、ウルキオは自分の属性以外の魔法も使えるということ。
しかし、さっき使ったのは間違いなく風の魔法だった…。
これは、一体どういうことなのか。
40人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポチ - そうだったんですね。ごめんなさい。こちらこそ、勘違いしました。明日も寒いらしいので体調には気を付けて下さい。 (2023年2月15日 17時) (レス) id: 07a8a54005 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - ポチさん» お久しぶりです。こちらは復讐ものの小説の中に入ってしまった主人公のお話であり、この小説自体が復讐系のお話なわけではないです…。申し訳ありません。 (2023年2月15日 16時) (レス) @page27 id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - こんにちは。お久し振りです。こちらも復讐系ですか。私、復讐系好きですよ。 (2023年2月15日 14時) (レス) id: 07a8a54005 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - 桜都葉さん» あはは。あー、私もそのくらいしか覚えてませんよ。(※一応作者です)そもそも覚えられないような名前をしてるのがいけないんです(※名前を考えたのはこの人です)はい!更新頑張ります! (2023年1月30日 13時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉 - キル坊さん» あ、なるほど。二人じゃなくて良かった。(←ちょっとコイツ罰あたり)登場人物…恥ずかしながらレオンフィーナちゃんとウルキオしか覚えてない…。神の名をすべて忘れた!なぜだ!?(←罰あたりだし、頭の容量少ないから)更新、頑張ってくださ〜い! (2023年1月29日 0時) (レス) @page17 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キル坊 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/okitakarum1/
作成日時:2022年12月28日 14時