悪役令嬢、魔王目指しま〜っす。

第二十九話。 ページ30

いろいろなことが重なりすぎてすっかり忘れてたけど。


なんでリーレナは今日ここに来たんだ？


だって、リーレナとレオンフィーナが出会うのは6歳の時で…


まだ私達、5歳児じゃん？


魔力検査はもう終わってるからまぁ…連れてきていてもおかしくはないんだけど…。


物語が…ちょっと変わってきてる？


それが良いことなのか、悪いことなのか…


まだよくわからないな。


だからこれはちょっと置いといて…


みんなが今気になっているであろう話をしよう！


私の魔力適性がなんなのか。


コレを見ている君はちょっと気になってたんじゃないか？


気になってたよな？なぁ？知ってるか？人間の頭蓋骨って案外脆いんだよ？


うんうん、気になっていただろうから教えてあげよう！


私の魔力適性は〜なんと…


闇だ！


いや〜、思わず笑っちゃったよねー。


ここまでくると王道すぎというかなんというか。


まぁ、とりあえず笑っちゃうよねー。


まるで私が悪役になることが、必然のシナリオであるかのようだ。


これは、もしかして物語の強制力というものか？


原作にはそんな設定なかったし。


それにしても…


闇属性は5歳までに死んでしまうんじゃなかったのか？


なんで私こんなピンピンしてんの？


まぁ…当然と言えば当然なのかもしれないけど。


物語に悪役は必要不可欠。


なぜならば、主人公がその悪役を倒すため、


様々な試練を乗り越えるのが当たり前の物語の筋道だから。


こういう復讐ものであれば、尚更だ。


悪役がいなければ成立しない物語。


私はきっと、物語に生かされている。


そしていつか、その物語に見放され、命を奪われる。


そんな生き方なんて、絶対するものか。してやるものか。


見えない舞台の上で、見えない誰かに括られた糸で、


自分の意思に関係なく踊らされる、そんな操り人形に、


私は絶対に、なりはしない。


なぜなら私は、この物語を知っている、この世界の行く末を知っている、


”異世界転生者”なのだから。


それに…どうせ舞台で踊らされるというのなら。


誰にも想像できないような、ハチャメチャな踊りを見せてやりたい。


きっと私にしかできない、私だけの踊り方があるから。


「お姉様！」


誰かが、私を呼んでいる。


「はいはい…今行くって。」


声のする方へ足を進める。


「おい、早くしろって。」


「わかってるっての。」


私を呼ぶその声達のため、


私は今日も、踊るのだ。

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