第二十八話。 ページ29
本当は、ずっと心のどこかで抱いていた、
誰にも理解されない、不安と寂しさ。
知らない場所で、知らない人に囲まれて。
もう家には帰れないのかと、もう家族には会えないのかと、
そんなことを思う暇もなくて。
ただ、危険だらけのこの場所で、
たった一人、生き抜くのに、必死で。
ようやくできたウルキオという仲間がいても、
やっぱり、転生者である私は…ウルキオとは違くて。
あぁ、やっぱり私は独りぼっちなんだと自覚しては、
一人、何も見えない真っ暗な暗闇に吸い込まれてしまいそうな感覚に目を背けて。
ずっと、見ないでいたかった傷。
できることなら、消し去ってしまいたかった感情。
それが、なぜかリーレナを通して、見えてしまったのだ。
「公女様…どこか具合でも悪いのですか…?」
無言で抱きしめる私に少し焦った様子でそう聞いてくるリーレナ。
なぜリーレナを通してその感情が見えてしまったのかはわからない。
でも、なぜか、どこかで確信している自分がいる。
「…お姉様でいいって言ったじゃん…いつまで公女様って呼んでんの?」
リーレナは、きっと私と同じだと。
何が同じなのかもわからない。
馬鹿らしい考えだ。
でも、それでも、
「はい…お姉様…。」
涙でぐずぐずになった顔でふにゃりと笑うリーレナは、
主人公補正なのかとても愛らしく、どこか儚く、美しい。
…それでも。
私は、気づいてしまったから。
将来、この子が私にとってかけがいのない存在になるであろう可能性に。
将来、私の痛みを理解してくれる唯一無二の存在になるであろう可能性に。
気づいてしまっては、後には戻れない。
「レナ、これからよろしく。」
「こちらこそ、よろしくお願いしますお姉様!」
約束しよう。
この今にも消えてしまいそうな儚くて愛らしい、幼い少女。
私は、この子を護りましょう。
…たとえ、それがこの子を傷つけてしまうことになろうとも。
私は、この子を護りぬいて見せましょう。
それは、この子のためではなく、
あくまで、私のためだけど。
それでも、ここに約束しましょう。
私は、護るよ。
きっと。
…きっと。
だから。
神様なんてふざけた存在が本当にいるならば。
どうか、どうか。
これ以上私達に試練を与えないで。
これは、誰も知らない、私の中だけの約束。
誰にも教えられない、私だけの、事情。
40人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポチ - そうだったんですね。ごめんなさい。こちらこそ、勘違いしました。明日も寒いらしいので体調には気を付けて下さい。 (2023年2月15日 17時) (レス) id: 07a8a54005 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - ポチさん» お久しぶりです。こちらは復讐ものの小説の中に入ってしまった主人公のお話であり、この小説自体が復讐系のお話なわけではないです…。申し訳ありません。 (2023年2月15日 16時) (レス) @page27 id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - こんにちは。お久し振りです。こちらも復讐系ですか。私、復讐系好きですよ。 (2023年2月15日 14時) (レス) id: 07a8a54005 (このIDを非表示/違反報告)
キル坊(プロフ) - 桜都葉さん» あはは。あー、私もそのくらいしか覚えてませんよ。(※一応作者です)そもそも覚えられないような名前をしてるのがいけないんです(※名前を考えたのはこの人です)はい!更新頑張ります! (2023年1月30日 13時) (レス) id: a4a1b981d8 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉 - キル坊さん» あ、なるほど。二人じゃなくて良かった。(←ちょっとコイツ罰あたり)登場人物…恥ずかしながらレオンフィーナちゃんとウルキオしか覚えてない…。神の名をすべて忘れた!なぜだ!?(←罰あたりだし、頭の容量少ないから)更新、頑張ってくださ〜い! (2023年1月29日 0時) (レス) @page17 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キル坊 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/okitakarum1/
作成日時:2022年12月28日 14時