神様 23 ページ24
2週間が経った。
Aは着崩した制服で、よれよれと横浜市内を歩いていた。その酔ったような歩き方に道行く人々は怪訝な顔をしたり心配そうな顔をするが、Aは今、そんなものどうでも良かった。
Aは探偵社にも、学校にも、あれから1度も行っていなかった。探偵社に行っても、自分が迷惑を掛けるだけと思ったからだ。
『あー、不幸だ』
Aはなるべく探偵社の方角に行かぬようにぶらぶら歩く。目指すべき場所はない。外に出る理由も特にない。
ただただ歩いてるだけ。
途中すれ違ったカップルが喧嘩をしていた。
その時男性が女性に向けて云った言葉。
「悲劇のヒロインぶってんじゃねえよ!」
Aは心の中で男性を嘲笑した。
いつだって人は自分が中心だ。誰しもが自分という小説のヒロイン。誰しもが心の中で、自分を1番可愛がっている。例え本人が気づいてないとしても。
悲劇のヒロインで何が悪い。
人の世はいつだって非情だ。
Aの持っている過去以上に暗い過去を持っている人なんていくらでも居るだろう。
だけど、そんなの知らない。
他人なんて気にしてたらヒロインを奪われる。
そしたら自分の居場所が無くなる。
いつだって人は自分の為に必死だ。
そうしなきゃこの世界で生きていけないから。
その為には、自分をヒロインにしなきゃやっていけないでしょう?
Aは思う。これは完全なる自己解釈。
全くの勘違いかも知れない。でも、この勘違いで幸せになれるなら安いものだ。
『無料より安いものは無いよね』
この世の何よりも無料が1番恐ろしい。
ふらふら歩いていた結果、横浜内でも高級な店が立ち並ぶ場所に来ていた。服、食品、宝石点、何でもアリだ。あまり人が居ない時間帯だった。
だがどう見ても平凡なAにはミスマッチである。
こんな所まで来てしまったのか、帰ろう…とAは背を向ける。
『およ?』
その時Aは小さい人影のようなものを見つけた。
その子は洋菓子屋の壁に寄り掛かり、むすっと拗ねた不機嫌な顔をしている。
Aは帰ろうとした。帰ろうと頭で必死に命令する。自分がその子の所に行っても何も変わらないだろ、と。
だが、頭の考えとは裏腹に、足はどんどんその子の方に向かう。
『あばばばばば』
Aは人の事を放っておけない性格なのだ。
これはどう転んでも直らない性格。
性格とは、よっぽどのことがない限り変わらないものである。
今日は、何かが起こりそうな予感がする。
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彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - 橙咲智歌さん» コメントありがとうございます!賢治くんには出会うのでしょうか、何処までが真実か分からない人ですからね・・・コメントでもボードでも仲良くして下さりありがとうございます! (2018年4月28日 12時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - 読み終わって「はあぁぁぁぁ…」と感嘆の声を漏らしてしまいました!迚も世界観に引き込まれて面白かったです!夢主がラスボスだった事実…ひょえぇ…最後の最後にどんでん返しが来るとは思ってませんでした!イーハトーヴォ村…帰省した賢治くんとの遭遇フラグ…?← (2018年4月28日 10時) (レス) id: e71731f15b (このIDを非表示/違反報告)
彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!ラストがお好みに添えていれば良いのですが・・・ (2018年4月27日 23時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年3月31日 9時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
すーしー。(プロフ) - 彩りパスタさん» いえいえ。イラスト楽しみにしています〜 (2018年3月9日 21時) (レス) id: 4e9f960f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩りパスタ | 作成日時:2018年2月15日 19時