【進撃の巨人】私がオトされる筈がない！

立体機動訓練 ページ8

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「立体機動訓練開始！」


　エルヴィンの一声で、調査兵みんなが、
アンカーを木に刺し、立体機動を操作し始めた。


訓練は、訓練兵時代に行っていたのと同じもので、
巨人型の模型の項を削ぐと言うものだ。

実戦を想定して、巨人の顔の前から行き、
項を削ぐと言う事は禁止らしい。
兵長とかだったら、何処の方向でも
楽に削げそうだけどなあ。



　とりあえず、慣れる事が先だ。
アンカーを刺すのがこの装置で……よし。
なんとか思い出して来たぞ。

あの木に刺すか。


「……待て」



　木にアンカーを刺した途端、エルヴィンの声が
聴こえて、振り返る。



「……何」


「君はまだ慣れるのに時間が掛かるだろうから、
立体機動で飛ぶだけにしなさい」


　……流石にそこまで鈍っていないぞ？ 私も。
一応、訓練兵に三位で卒業したんだから。



「余計なお世話」



　一言そう言い、ガスを噴射して空中に飛び出す。
涼しく、爽やかな風が私に吹いて来て、
清々しく、気持ちが良くなる。
まるで、海中で泳いでいるかの感覚だ。



　項が削がれていない所を目指しながら、体を慣らす。


「もらいっ」


　見つけた所で、新兵が削ごうとしている。
……急いで私も削がなければ。


　カチッとガス噴射装置を押し、軽く吹かした私は、
急いで横取りをして、項を削ぐ。


「……あっ！？」


　新兵が驚いている間に、削いだ項を踏み台にして、
思いきり飛びたつ。




　新兵とは言っても、私が入団してから半年が経つ兵士だ。
私何かに抜かされてちゃ、話にならないと思うんだが。




　そんな事を考えながらも、次々に模型の項を削いで行く。
意外と削いだ瞬間が気持ち良いのだ。



「ん……！ お兄ちゃんだ」



　お兄ちゃんも真剣でかっこいい様な一面が有るなあ
とか感心しながらも、お兄ちゃんの獲物を
取っちゃおうかなとか言う意地の悪い心が働く。




　よし、悪戯しちゃおうっと！

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