石言葉 ページ33
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「あれ? 珍しいお店……」
裏路地を抜け、憲兵団本部付近の商店街に
ぽつりと小さなお店が有った。
屋根は青色をしていて、扉は無難な茶色をしていた。
外壁は明るい薄橙色。
雰囲気は何処かに有る花、造花屋に見える。
『チリーン』
扉をそっと開いた途端、
扉に取り付けられた鈴が活気よく響いた。
鈴が鳴った途端、若々しい女性がひょこりと姿を見せた。
私より全然背が高く、金髪のストレートヘアをしている。
ワンピースの様な桃色のロングスカートを身に纏っていて、
その上から純白のエプロンをしていた。
年齢は二十代中半から後半位な感じだ。
「あら、お客さん? 今日はどの様なご用事で?」
「あ……、用事は無いんですけど、ちょっと気になったので、
入ってみたんです」
優しい口調の店主は明るい雰囲気を漂わせていた。
店内も外と同じ様に明るい色で統一されており、
籠がテーブルの上に綺麗に並べられている。
その籠の中に商品がある様だ。
「ああ、そうなのね。
此処は宝石屋さんよ。
よく貴族とかが"石言葉"に合わせて
身に付ける飾りを買って行くの。
だから、常連さんが多いのだけど、
初めて入る方は最近少ないわね」
石言葉、か。
初めて聞く様な言葉だ。石に籠められた言葉が、
人に幸運を与えるって事か。
意外と私はそういうのを信じるタイプだ。
「……!」
籠の中の水色の石が私の目に留まった。
その石の大きさは鶉の卵位で、水の様に透明なのに、
何処か奥行きがある感じがした。
……エルヴィンの瞳にそっくりだ。
奥行きが有って、吸い込まれる様な。
「その石、気に入りました?
"
確か、石言葉は"初めての愛"……」
「そ、そんな! 彼奴の事なんか……っ」
店主はエルヴィンの事を知る筈なんか無いのに、
私は何言っているんだ。
あぁ、もう。イライラする。
「フフッ、じゃあ、ネックレスにするとか、どうです?」
「…………お願いします」
ぼそぼそと独り言の様に言ったが、
店主は暖かく受け入れてくれた。……好い人だ。
私と粗同じ位の年齢なのに、
ここまでしっかり者なのは感心する。
……この人目当てで来る貴族も居るんだろうな。
菫青石は綺麗だけど、エルヴィンの瞳に
似ているとか、そんなんじゃない。
単に目に留まっただけだ。
………………多分。
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霰餅おかゆ@スミス廃(プロフ) - みかりんさん» コメントありがとうございます!はまって頂き、感謝のお言葉でいっぱいです!!(T▽T)精一杯頑張らせて頂きます! (2015年7月28日 14時) (レス) id: 3047c4c577 (このIDを非表示/違反報告)
霰餅おかゆ@スミス廃(プロフ) - アヤさん» コメントありがとうございます!私もモブリット大好きなので、いっぱい出番を上げたかったんです!エルヴィンとモブリット好きに出会えて嬉しいです(*^▽^*) (2015年7月28日 14時) (レス) id: 3047c4c577 (このIDを非表示/違反報告)
みかりん - とてもおもしろいです!すっごくはまりました。これからも頑張ってください!!! (2015年7月28日 13時) (レス) id: e6e02b259e (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - エルヴィン最高です!!しかも設定がモブリットさんの妹と言う…マジ俺得です!! これからも更新頑張ってください!! (2015年7月28日 8時) (レス) id: f404e0d7dd (このIDを非表示/違反報告)
霰餅おかゆ@スミス廃(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます! エルヴィンが好きな方がいて、嬉しいです♪(*´▽`*)これからも頑張ります!!(*`△´)ゞ (2015年7月27日 12時) (レス) id: 3047c4c577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霰餅おかゆ | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/user/okayu0013
作成日時:2015年7月21日 23時