お誘い ページ27
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作戦はこうだ。
まず、私が彼女さんにお使いを頼まれる。
エルヴィンが居る近くが良いそう。
此処で、わざとらしくても大丈夫だ。
そして、廊下で私が
『エルヴィンも一緒に行って欲しいんだけど……』
と、言う。
『何でだ?』とか言われたら、
『一人だと、色々不安なの』と言う。
確かに、私は方向音痴だから、ご尤もだ。
そして、その後、彼女さんとお兄ちゃんが、
『仕事はやっておくから、ゆっくりで良いよ』
と、言うらしい。
そこで、お使いと同時にデートが始まる。
……と、言う作戦だ。
マイル案で、二人も喜んで協力してくれた。
そして、この作戦の上手く行くのには、
私の誘いにかかっているのだ。
少し計画はあざといと思うが、一応キッカケは
私が作らなければならない。
……マイルも頭が良いものだ。
「団長が来たよ、ガーネット! 準備して」
お兄ちゃんが私の耳で囁くと、本当にエルヴィンが
ツカツカと廊下を歩いて来た。
緊張と共に、手汗が沸き出て、胃が痛くなってくる。
「ああ、ガーネット!」
「え……」
私達が子芝居をしようとしていると、
エルヴィンから私に駆け寄ってきたのだ。
思わず三人は驚きの声を漏らした。
「
ナイルがよく行く店の割引券をくれたんだ。
……これから二人でそこに食事でも行かないか?」
ぇぇえええ…………!?
誘う所か、誘われちゃったよ……。
キッカケを作ろうと思ったのに。
いや、凄く嬉しいんだけどさ。
よし、素直になれ、自分!
「う……う“ん!」
緊張が最大に達した私は、
声が裏返って、もの凄く恥ずかしくなり、
穴があったら入りたい気持ちだ。後ろで
お兄ちゃんの彼女さんは、口を押さえながら笑っているし。
あぁ、もう、消えたい……。
「よし、じゃあ行こうか」
「ちょっ……」
声の裏返りを気にする事無く、
グイッと私の手を引っ張って歩き出した。
歩いて行く内にエルヴィンは、
私の指と指の間を、埋める様に指を絡めて来る。
それにつられて私も、エルヴィンの指と指の間に絡めた。
開いた窓から入って来る仄かの風と共に、
エルヴィンの甘い服の香りが漂って来る。
半分しか開いていない窓も有り、
そこに映ったエルヴィンを見ただけでドキリと胸が動いた。
心臓の鼓動が響いて聴こえる中、
手を引っ張ってくれている
エルヴィンの大きな背中を見つめていた。
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霰餅おかゆ@スミス廃(プロフ) - みかりんさん» コメントありがとうございます!はまって頂き、感謝のお言葉でいっぱいです!!(T▽T)精一杯頑張らせて頂きます! (2015年7月28日 14時) (レス) id: 3047c4c577 (このIDを非表示/違反報告)
霰餅おかゆ@スミス廃(プロフ) - アヤさん» コメントありがとうございます!私もモブリット大好きなので、いっぱい出番を上げたかったんです!エルヴィンとモブリット好きに出会えて嬉しいです(*^▽^*) (2015年7月28日 14時) (レス) id: 3047c4c577 (このIDを非表示/違反報告)
みかりん - とてもおもしろいです!すっごくはまりました。これからも頑張ってください!!! (2015年7月28日 13時) (レス) id: e6e02b259e (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - エルヴィン最高です!!しかも設定がモブリットさんの妹と言う…マジ俺得です!! これからも更新頑張ってください!! (2015年7月28日 8時) (レス) id: f404e0d7dd (このIDを非表示/違反報告)
霰餅おかゆ@スミス廃(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます! エルヴィンが好きな方がいて、嬉しいです♪(*´▽`*)これからも頑張ります!!(*`△´)ゞ (2015年7月27日 12時) (レス) id: 3047c4c577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霰餅おかゆ | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/user/okayu0013
作成日時:2015年7月21日 23時