【進撃の巨人】私がオトされる筈がない！

オトす為じゃ無くて……。 ページ23

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＿＿＿＿ドクン……ドクン……。


　心臓の鼓動が激しく高鳴っていて、少し落ち着かない。
多分、エルヴィンから見たら、
私の頬は赤く染まっているだろう。

エルヴィンとは二回目の筈なのに、何故これ程
落ち着かないのだろうか。
また、あんな余裕の無い姿になるのが恐いのか？




「…………？」



　目を瞑って、キスをする準備をしたのに、
中々唇にあの感覚が来ない。
……エルヴィンは今、何をしているんだ？




　ソロリと目蓋をそっと開き、薄目を開け、状況を確認する。





「あ……」




　目蓋を開いた途端、エルヴィンが目の前に居た。
唇が触れるか触れないかの瀬戸際で、
ジッと私の瞳を見ていたのだ。

　急に緊張が増した私は、
今更また目蓋を閉じる事が出来ず、石像の様に硬直する。





＿＿＿＿＿＿＿＿コツンッ




「んっ……！」




　少し頭に痛みが来て、一瞬目蓋を閉じた。
閉じた目蓋を恐る恐る開き、状況を確認すると、
寸止めされた唇は重ならず、重なったのは額と額だった。
上目使いのエルヴィンを見るのは初めてで、
更に顔が熱くなって来る。




「俺が、そんなに軽い男に見えるか？」



　重なっていたエルヴィンの両手は移動して、
私の顎に合わせて大きな両手が私の顔を包み込んだ。




「俺は、確かにお前からしたら裏表が激しい奴かも知れないが、
これでも俺は……お前には、本性を出している。

……ゲームみたいにお前を見ている訳じゃ無い」





　オトすゲーム感覚じゃないって事？
……エルヴィンが？
あんな、いつも余裕そうな？

嘘、……嘘でしょ？ だって、私は…………。




「まだ解らないのか？



……俺は、お前が好きだ」






　そう言われた時、私の心に纏っていた
心の防御が消えた気がした。
それと同時に沸き上がる汗。
上昇する体温。防御するもう一つの心が消えた私は、
どうして良いのかわからなかった。



　バッと後退りをして、エルヴィンの両手と額から
離れた私は、気が動転していた。




「バ、バッカじゃないの！？

何で私がアンタと付き合わなきゃいけない訳！？

アンタと私が両思い何て、信用出来る訳無いじゃない！！

私、寝るから！」



　何を言ったか解らない私は、
布団を被り、頭を隠してエルヴィンから目線を逸らした。



「……ハハッ。解った。お休み」



　クスリと笑った声がした後、ガラガラと
扉が閉まる音がした。








　本当、素直じゃないな、私。

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