となりのわんこ2 □Kazunari.N■ (ページ21)

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□51話■ ページ21

□Aside■

8月が過ぎ、9月になって

あたしも二宮さんも大学は9月中旬に始まるから

夏季休暇もあと1週間となった。

まだ厳しい残暑が続いていて

2人で買った扇風機は、なかなかしまえないでいる。

A「結局、花火大会以外どこにも行ってないなぁ…」

部屋に飾ってるカレンダーを見て、独り言を言う。

一人暮らしをしてから、なんだか独り言が増えたみたい。

花火大会しか行ってないけど、頑張って働いたお陰で

だいぶお金にも余裕が出てきた。

食費も、二宮さんが持って帰ってきてくれる

大将の賄いで、だいぶ浮いてるし。

今度、挨拶に伺わなきゃなぁ。

A「暑…」

床に寝転んで、ぼーっと古い天井を眺める。

今日は久しぶりの休み。

いつも何かしらしてるから、

なんもすることないって、暇だなぁ。

二宮さんも休みだったら

遊びに行けるのに。

A「…」

あたし、本当に二宮さんしか友達いないな…

学校の子とも、全然連絡とってないし。

まぁいっか。

A「あ、そうだ」

いつも二宮さんにお世話になってるし

大将にも挨拶行かなきゃだから

何か、買いに行こう。

そう思い立つと、バックを持って

近くのデパートに向かった。

食品売り場を通りかかった時に

ちょうど、柿ピーが目に入って、二宮さんを思い出した。

A「買ってったら、喜ぶかな…」

二宮さんの顔が浮かんで、思わず一袋カゴに入れる。

全ての買い物を終えて外に出ると

辺りはもうだいぶ暗くなっていた。

二宮さん、もうすぐバイト終わるかな…

そんな事を考えながら、家に向かって歩いていた。

そして、

「A。」

後ろから、名前を呼ばれた。

間違えるはずのない、この声。

顔を見なくても一瞬で誰かわかってしまう。

ゆっくり振り向くと、やっぱりそこには

トモキ「よ。」

トモキの姿があった。

最近、顔見せなかったのに…

なんでまた会っちゃうの？

手をぎゅっと握ると、持っていたビニール袋がガサッと鳴って

視線を落とすと、隙間から柿ピーが見えた。

それを見て、二宮さんの言葉を思い出し

スマホを取り出して、二宮さんの名前を探す。

急いで発信ボタンを押し、耳にあてる。

お願い…早く出て…

パシッ

…が、その手を掴まれ

トモキ「誰に電話？」

にっこり笑ったトモキと、目があった。