□48話■ ページ18
.
A「それから暫くは、家を探しながら友人の家に泊めてもらったり、転々としてたんですけど
そのうちお金もなくなってきて…
その時に、二宮さんに出逢ったんです」
和也「…」
わんこの話を一通り聞いて
驚くことが多すぎて、言葉が出なかった。
でも、よくよく考えればすべての辻褄もあった。
わんこが家も金もなかったのも
家事が無駄なくできるのも
男に免疫があることも
兄貴と全然似てないことも、全部。
……ていうか。
あの男、そんなに最低な奴だったのか。
和也「…で、昨日はなんで泣いたの？」
A「それは……キス、されて…」
和也「は？」
A「洗面台で何度も口洗ったんですけど、感触が取れなくて……」
そう口に手を当てながら話すわんこは、
思い出して、目をうるうるさせ、今にも泣きそうになっている。
気をちゃんと保ってないと
あの男への怒りで、おかしくなりそうだった。
居ても立っても居らず、
わんこを引き寄せて、抱き寄せる。
和也「…ほんと、バカだな…」
A「…すみません」
和也「なんでそんな奴、好きになったんだよ」
A「自分でも、わかんないんです…」
俺の腕の中で
わんこの鼻をすする音がする。
多分、わんこは
まだあいつのことを忘れられてないんだろう。
そう簡単に忘れられない程、溺れる苦しさは
俺もよく知っているから。
でも、どうしても思ってしまった。
なんで、泣くほど辛いのに
あいつのことが好きなんだよ。
和也「…俺だったら」
その言葉は、自分でも驚くほど自然に出ていた。
まるで、そう言う事が当たり前かのように
和也「俺だったら、わんこに辛い思いさせないのに」
A「うっ…グズっ…」
和也「俺を好きになればいいのに」
A「…っえ…」
和也「…俺じゃダメ？」
体を離して、
目を真っ赤にしてるわんこと向かい合う。
あぁ…そっか
なんで今まで、気づかなかったんだろ。
こんな状況になるまで
自分の気持ちに気づかないなんて
抱き締めたくなるのは
守りたいと思うのは
そばにいて欲しいと思うのは……
.
和也「…お前が、好き」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 202人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：爽歌。
| 作成日時：2017年5月9日 16時
