□31話■ ページ1
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和也「あっちぃ〜」
部屋の中にはムシムシとした生温い空気が漂っていて
ベランダの外からは蝉の鳴き声が煩く聞こえてくる。
春季期末テストもなんとか無事に終わり
単位もいい感じにとって
俺はようやく夏季休暇に入った。
A「ここのアパート、今時エアコンついてないんですね…」
そこら辺にあったファイルをパタパタ扇いでいるわんこも
今回は倒れることなく、無事に夏季休暇に入り
バイト三昧の日々を過ごしている。
普段バイトに入れる時間が限られてる俺らにとっては
夏は稼ぐための絶好の機会だ。
和也「古いしね。その分家賃安いけど」
A「せめて扇風機買いません？」
和也「…二人で折半して買うか」
A「あ、そうしましょ！」
暑さに耐えきれなくなった俺らは
家を出て、一番近くにあるデパートに向かう。
そこまでの道でも
夏の日差しが俺たちをジリジリと刺激する。
和也「夏ほんと嫌い…」
A「苦手そうですよね(笑)貧弱そうだし」
和也「うるせー。わんこは好きそ」
A「好きですよ！海とか大好きです」
和也「俺、海嫌いだわ」
A「……えぇぇっ！？！？」
和也「浜辺歩いて終わりかな」
A「…信じらんない…」
他愛ない会話を交わしながら歩いていると、
目的地にあっという間についた。
入り口には、
真夏の大セール実施中！！
という大きい文字が掲げられている。
中に入ると、冷たい風が吹いてきて
汗をかいている俺たちを、涼しい風で包んだ。
和也「天国…」
A「冷房の有り難さが身に染みますね…」
和也「…何買いに来たんだっけ？」
A「扇風機(笑)」
和也「そうそれだ(笑)」
A「あ、ついでに食材買ってってもいいですか？」
和也「ん。アイス買お」
A「あぁーいいですね！」
立ち寄った食品売り場には、家族連れも沢山いて
アイスの前で、小学生ぐらいの子たちが
財布とにらめっこしながら、品定めしていた。
A「ふふ、可愛い(笑)」
隣のわんこもそれを見て微笑ましそうに笑っている。
普段はそーいうこと思う柄じゃないけど
平和だなーと
なんとなく、そう思った。
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作者名：爽歌。
| 作成日時：2017年5月9日 16時
