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Ryohei







翔太と一緒に過ごした時間は、




長い人生の中の、たった一ヶ月にも満たない位。






それでも思い出は深く深く俺の中に刻まれて、




一瞬で終わったせいか、全部悲しい程キラキラしている。






未だにあの日の翔太を思い出すと胸がぎゅっとするし、




手術だってやりたくない程本当に怖かった。




俺も翔太みたいになるんだって本気で思った。






でも涼太と照なら大丈夫って笑ってた翔太が思い出の中にいてくれたから、



背中を押して貰えた気がしたんだ。




怖くて怖くて怖かったけど、何処か大丈夫って思えた。







翔太の病気は多分、俺よりずっと悪かったと思うけど、



当時はそんなこと感じさせ無い位、一緒に色んなとこ連れてってくれたよね。






翔太と一緒に見たのはまだ蕾だった桜。





手術が終わった頃には満開で、



退院したのは次の季節に向けて葉をつけ始めた頃。





翔太がそれを目にすることは無かったけれど、



この季節になると翔太に会える気がするんだ。







あれから10回目の桜を、




俺は今年も見ることが出来ました。





翔太もあっちで翔太らしく楽しくやってるのかな?







あの時は先生に言えなかったけど、





俺の方こそ、友達になってくれてありがとう。








長い長い冬を越えた花が散って、




又新しい葉をつけて次の未来に歩きだす。






そんな青桜が綺麗な10年前のこの季節、




俺は翔太と過ごしたこの場所を後にしました。





翔太は一足先に違う場所へ旅立って行ったけど、



俺はこうして、たまにはここに戻ってくるからね。







今度は必ず、満開の桜の下で会おう。






その日を信じて楽しみに、




俺は今年も桜色に染まった道を一人で歩いて行った。
















fin.

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作者名:りる | 作成日時:2022年11月27日 21時

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