聖なる夜のプレゼント ページ9
Shota
学校帰り、校門の前からバスに乗って20分。
もう何回も見た景色を今日もぼーっと眺める。
一生通い続けないといけない道は、もう嫌いかどうか考えるのを諦めた位。
でも今日は既に少し体調が悪いから、尚更憂鬱だけど。
終点で降りた病院には制服の人なんていないけど、でももうそれも慣れっこで、
いつも通り受付通って定位置のベッドに横になる。
週に三回の透析の時間。
命を繋ぐ為に、毎回欠かさず通わなければいけなかった。
.
病気が分かったのは、小学生になってすぐ。
なんとなく微熱が続いて、その内に段々ベッドから起きれなくなって、
一杯一杯検査をして腎臓の病気が発覚。
すぐに入院して治療を受けたけど、中々良くならなくて、
透析が無いと生きられない体になってしまった。
今は週に三回。
気持ち悪くても熱があっても体がしんどくても、
透析だけは絶対に受けなければいけない。
一回高校入りたて位の時に全部全部嫌になっちゃって、
透析さぼって遊んで、部屋引きこもってなんてことをやったらそのまま倒れて死にかけたことがあって。
その時に兄ちゃん達と、絶対に透析には行くと約束した。
だから今日みたいに始まる前から気持ち悪くて、
確実に具合悪くなるって分かってても透析は絶対。
腕に刺される針は小さい頃から痛くて大っ嫌いで今も苦手だけど、でもやるしかなくて。
今更抵抗する気もなく、今日も針が刺されていった。
.
今日はまずいやつと悟ったのは、それから割りとすぐ。
まだ後二時間以上残ってるのに眠れない位気持ち悪くなってきて目の前ぐるぐるで、
なんにも出来なくなってベッドに沈み込む。
目「翔太具合どう…悪そうだね。お兄ちゃん呼ぼっか。」
そろそろナースコール押そうか迷ってた頃、タイミング良く来てくれた目黒先生。
本当は兄ちゃん達に迷惑かけたくなかったけど、もう辞めてって言う元気も残ってなくて、
照「翔太…しんどいな、寄っ掛かっても良いから。もうちょっと頑張れ。」
今日すぐに来てくれたのはひーにぃ。
たつにぃ、ひーにぃ、りょーにぃ、上から看護士医者管理栄養士で皆この病院で働いてるから、
誰か一人は具合悪くなると必ず来てくれる。
申し訳ないなとは思うけど、
兄ちゃん達が来ると安心して、少し元気になる気がする。
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作者名：りる | 作成日時：2022年11月27日 21時
