4話 ページ4
大広間に集められた刀剣たちに小さい僕を紹介すると、皆快く迎えてくれた。
座布団の上にちょこんと座る小さい僕は、少し緊張が解けたのか話しかけられても小さく受け答えが出来ていた。
一先ず安心し、出先で買った荷物を主の部屋に運ぼうと大広間を出ようとする。
襖に手を掛けた瞬間、足元に衝撃が来た。さっきと似たような感覚だったので視線を下げると、案の定小さい僕が足元にしがみついていた。
うるっ。とした二つの瞳が僕を見上げ、幼い手がぎゅうっ。と服を握る。
「いかないで……」
小さな声でそう言われ、僕はとても驚いた。僕が小さい時は誰かに行かないでなんて思わなかったからだ。
この子は僕が思っているより精神年齢が低いのだろうか。離れようとしない小さい僕に戸惑っていると、燭台切が近付いてきた。
「初めまして。僕は燭台切光忠だよ。小さいAに渡したいものがあるんだ」
小さい僕と目線を合わせるために膝をついた燭台切が手にしているそれに、まん丸な大きい瞳がキラキラと輝いた。
「このきらきらしたの、なに?」
色とりどりの和菓子に興味が湧いたのか、不思議そうに首を傾げる小さい僕に燭台切は笑って答える。
「和菓子っていう食べ物だよ。僕が作ったんだ」
「これを、きみが……?」
おずおずと和菓子を受け取った小さい僕は、初めて見る和菓子に戸惑っていたものの、意を決した様に口に入れた。
「!……おいしい」
それまで笑顔を見せなかった小さい僕が、初めて笑った瞬間だった。
あどけない笑顔を見せる小さい僕は、僕に似ていてどこか違う。そんな小さい僕に優しい笑顔を向ける燭台切。
(──あれ)
なんか胸がチクチクする。何かの病気だろうか?後で主に手入れをしてもらわなければ。
小さい僕がおかまいなしに燭台切に話しかけるのを見ながら、この胸のチクチクはどうしたら治るのかと、そればかり考えていた。
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