3話 ページ3
本丸に着くと、すぐに他の刀剣たちが主を出迎える。
「主さん、お帰りなさい！」
乱の元気な声に顔を綻ばせた主は、ただいま〜。と挨拶を返す。
が、主を出迎えようとしていた刀剣たちは、主の腕の中に居る小さい僕を見て硬直する。
「た、大将……？その子は……」
信濃が若干青褪めた表情で訊くものだから、主はにいっ。と悪戯な笑みを浮かべた。
この時点で嫌な予感はした。
「じゃ〜ん！！Aとの間にできた子でぇーす♡」
「ええええええっ！！？」
主の思わぬ発言に短刀たちから驚きの声が上がる。ので、すぐに僕は主の頭を叩いた。
「みんなに嘘言わない！」
「ええ〜、驚かせてみようって思っただけなのにぃ」
まるで鶴丸みたいな事を言い出す主にげんなりしていると、主の腕の中に居た小さい僕が身動ぎする。
腕の中から抜け出した小さい僕は全員の注目の的になりながら、小さい手足を動かして僕の後ろに隠れた。
ぎゅっと足にしがみ付かれ、思わず苦笑する。
刀の頃は数百年、蔵に置かれて主人をたらい回しにされる事も無かったから、知らない刀剣が沢山居て戸惑ってるのかもしれない。
僕も初めて顕現された時はそうだったから。
小さい身体を更に小さくさせた僕を抱き上げれば、ひしっと首に抱きついて来た。
うーん、まずは本丸のみんなが味方だって教えるとこから始めた方がいいかも……
そう思ってると、乱がじいっと僕の方を見ている事に気付いた。
「乱？どうしたの？」
「んー、あのね。なんか今のA、お母さんみたいに見えるなって！」
「……！？」
乱からそんな事を言われると思っていなかった僕は、咄嗟に言葉が出ない。
「たしかに！人妻に見える！」
包丁までそんな事を言うものだから、段々恥ずかしくなってきた。
と、そこへ……
「あ、主おかえり。Aもご苦労様……って、どうしたんだい、その子」
恋人である燭台切がやって来て、僕の腕の中に居る小さい僕を驚いたように見る。
「光忠、ちょうど良いところに〜。この子を紹介したいから大広間にみんなを集めるのとぉ、今夜は歓迎会を開くから食事は豪勢にしてね！」
主の勅命を聞いた燭台切は頷き、すぐに他の刀剣たちを呼びに行った。
「んじゃAたちは大広間行こっか〜」
主に促され、大広間へ向けて歩き出した。
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