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56話 ページ7

※過去回想

貴方サイド

舞台の練習が始まると彰飛先輩達が入って来た。

だが演技の途中なので其れに反応を示す事なく遠くを見つめ続ける。

……確かに意外と退屈だな。

ずっと座ってるから伸びをしたくなる。

演技中だから頭一つ動かさないけど、集中力が切れそう。

今日はそんな感じでじれじれし乍ら演技に臨んだ。

部活が終わると何時の間にか来て居たのか凪零が僕に手を振っているのが見えた。

あれ、僕は彼に演劇部だと話したっけ……?

少々疑問に思いながらも凪零に近付く。

「部活お疲れ〜」

そう言って挨拶する凪零に頭を下げ、口を開く。

「ありがとう。でも如何して此処に?僕、君に演劇部だって言ったっけ?」

「桃鵺から聞いたの。一緒に見学に行かないかって」

ああ、二人は知り合いみたいだから凪零が情報を得ても不思議じゃないか。

「で、折角だし一緒に帰ろうって誘いに来たんだよ」

相変わらずの人懐っこい笑顔で言う彼に頷いた。

「構わないよ。じゃあ行こうか……?」

出口の方に目を向けた瞬間、鋭い視線を感じた。

良く見ると出口付近に見知らぬ男子生徒が立っている。

僕と目が合うと先程より強い視線で睨み付けられた。

え、何?初対面の人だよね?

だが男子生徒が僕を睨んでいたのも一瞬のうちで直ぐに視線が逸れた。

その先には栖慈先輩が居て……

熱のこもった感情で先輩を見る彼に対してなんとなく納得した。

あの視線は敵を見る目だ。僕と栖慈先輩が親しいとでも勘違いしたのかなぁ。

また面倒くさそうな予感が……

頭を悩ませる僕の横で凪零も正体不明の男子生徒に気付いたのか、驚いた声を上げた。

「あ、そう君だ。退院出来たのかな?」

どうやら凪零はあの男子生徒を知っているらしい。

「彼の事知ってるの?」

「ん。日暮蒼樹って言ってね、そう君は演劇部でせい君の次に演技上手で主役を演じる事が多いんだ。今の人形劇もそう君が人形役をやる事になってたんだけど事故で足を怪我して出られなくなったんだよ」

ふーん。つまり彼の人が本来人形役をやる人で誰かから僕が代役を務めるって訊いたのか。

僕と栖慈先輩の仲を勘違いしたとかじゃなくて役を盗られたって思ってるのかも。

……でも面倒事には変わりない。

にしても凪零の先輩達に対する呼び方から親しいと分かる。

色々聞けるチャンスではあるかもしれない。

出口の処で日暮蒼樹とすれ違った時、いきなり彼に声を掛けられた。

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作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月26日 18時

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