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52話 ページ3

※過去回想

貴方サイド

どうやってこの気まずい雰囲気を変えようか……

助けを求めて栖慈先輩を見上げると、視線を感じ取ったのか、軽く頷いた。

目で任せろと答えていた。

「望月も大丈夫って言ってるんだし、そんな気に病む事も無いだろ。それよりお前らも一緒に帰んない?」

栖慈先輩の提案に、先輩達は即座に頷いた。

予定よりかなり人が多くなったけど、仲直りの為なら良いか。

にしても、栖慈先輩って凄いな。

この気まずい空気を一瞬で楽しい空気に変えるなんて、僕には出来ない。

最悪放置する時もあるくらいだ。

僕もコミュニケーション能力が豊富ならなぁ……

少なくとも今より苦労はしない気がする。

僕は集団から少し距離を置き、観察を始める。

どんな人達か、未だ把握出来て無いし。

名前も知らない人が多いけど、それは今度教えて貰おう。

と、考えてる自分に多少の戸惑いはあった。

他人との関わりを避け続けた僕が、その他人と関わろうとするなんて。

やっぱり人って不思議な生き物だな。ぼうっとそんな事を考えて居たからだろうか。

何時の間にか隣に人が居た事に気付かなかった。

ビックリしてその人と距離を置いて、相手を良く見る。

清潔そうな銀色の髪に、宝石の様に輝く緑色が特徴的だった。

ん?この人、演劇部に居た様な。

首を傾げ必死に思い出そうとする僕を見兼ねてか、向こうから名乗ってくれた。

「俺は三坂慎矢。栖慈先輩と同じで演劇部だよ。よろしく」

と、にっこり付きの笑顔で言われた。

そして僕は、この先輩は大丈夫だと本能的に思った。

それで僕も頭を下げた。

「よろしくお願いします」

慎矢先輩は、演劇で分からない事があったら何でも言って。と優しく言ってくれた。

本当に良い人そうだな。警戒する必要は無いかも。

そう判断し、肩を並べて歩いた。

するとそれに気付いた彰飛先輩は、こっちに駆け寄って来た。

「三坂、一人だけ仲良くするなんてずるいぞ!A、さっき名前教えたから俺の事分かるよな?」

第一印象は、賑やかな人だと感じていたけど、本当にそうなんだ。

明るくて、ムードメーカーにぴったりだ。

僕が先輩の問いに頷くと、嬉しそうな笑顔を浮かべる。

その表情はキラキラと輝いていて、眩しかった。

「Aは演技した事あんの?」

彰飛先輩の突然の問いに、一瞬反応が遅れたが、経験は無かった。

それで首を横に振る。

すると彰飛先輩は訝しげに僕を見つめ、納得した様な顔付きになった。

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作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月26日 18時

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