50話 ページ1
※過去回想
貴方サイド
未だ状況を呑み込めない僕を見て瑠維先輩が説明する。
「玲帝学園は、知っての通り偏差値も高く謂わば金持ち学校だ」
ああ、自覚あるんだ……
「勿論編入試験だって難しい。それをあっさりクリアしたお前は生徒会の注目の的だったんだ」
え、そうなの。初めて知った……
周りの事なんて気にしてなかったし……
「その事実を知った俺ら三年もね。だから風変わりな転校生って、それの意味も含めて変わり者の転校生って呼ばれてたんだよ」
そうだったのかぁ……
でもそんな事で一々騒いだりしなくない?
もう高校生だよ?
ま、僕自身はわりと興味ないし……
「俺がお前に会いに来たのも、どんな奴か興味があったからだ」
だからあんなに見て来たのか。
「思った通り面白い奴だった。さっきの舞台での演技を見てな」
僕は不思議に思った。
だって、座って遠くを見つめるだけの役、演技でもなんでもないと思うけど……
彼には何が面白いと感じたのだろう。
「あれだけの視線を浴びながら眉一つ動かさないなんて、肝が据わってるな」
笑顔で言われたが……
「瑠維先輩、感性が可笑しいって言われません?」
僕が突然そんな事を言ったからか、瑠維先輩はぽかんとマヌケ面を晒す。
「いや……そんな風に言われたのはお前が初めてだ」
瑠維先輩は納得出来ないのか、複雑な表情だ。
栖慈先輩は僕らのやり取りを見て笑ってるし。
「あ、そうだA。いきなりの主役に抜擢されて大変だと思うけど、僕も観賞するから」
頷きかけ、ん?と思う。
「桃鵺も見に来るの?」
そう聞くと、桃鵺は首を傾げた。
「見に来るも何も、演劇部は今度の新入生歓迎会で舞台を披露する事になってるよ。劇は今A達が練習してるやつ」
え……それって全校生徒の前で演技する事になるんじゃ……
そーっと栖慈先輩を見ると、澄ました顔で、
「公演は学校の行事でしかしないよ」
と言った。
……嵌められた!?
僕の様子に気付いた栖慈先輩は、また吹き出した。
「誰も学校でやらないなんて言ってないじゃん」
た、確かにそうだけど、全校生徒の前でやるとは聞いてない!
せいぜいどっかの劇場でやるかと思ってたのに……
そんな僕に瑠維先輩が説明してくれる。
「一応言っておくが、栖慈が部長を務める演劇部はかなり人気でな。学校外で公演しようものならもっと人が集まるぞ」
瑠維先輩の言葉にギョッと目を見開く僕を栖慈先輩はまた面白可笑しそうに見る。
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