#036 崩落 ページ38
Aside
この箱を見るに、おそらく研究されていたのは
毒素を媒体とした異能兵器だが、その過程で
彼らはパンドラの匣を開けてしまったらしい。
『特異点』
異能を付与した毒素を混合させることによって
特異点を生み出したようだ。
だが毒素は一種類しか使えなかった筈ーー
人間が異能を使いすぎるのは基本的に
"身体に良くない"
ということはそもそも"生きてなどいない"のだ。
かつてのように死体を操ったのか。
そうすれば当人以上の力を引き出せる。
「はは、またやらかした。」
乾いた笑いが零れる。
凡人はこれだからダメだ。
太宰のような頭脳や、中原のような力があればーー
何時だってそう思えてならなかった。
最悪の爆弾抱えて走らされるとは……
ほんとについてない。
爆発したら熱や炎だけじゃなくて、
特異点のおまけ付きなんて。
いたいのも、くるしいのも、いやなのに
異能力が混ざるまでの
タイムリミットは凡そ5分。
どうすればいい。
連中ははなからこんな地下組織など
どうでもよかったのだ。
焦燥が思考を妨害した。
限界を訴える脳がある結論を導き出す。
首領はこの事態を予期していた。
否、異能兵器が作動すると確信してした。
だから太宰と中原は参加させられなかった。
優秀だからだ。
今のポートマフィアは彼らなくして立ち行かない。
だとするならば、私の使命は
起爆した『匣』を
自身の異能で周囲の物質への被害を抑えること。
「クソっとんでもない自 殺だな。」
妙に頭が冴えていく。
この施設は河川と平行に作られている。
このまま川に突っ込めばーー
水と私の異能で封じ込めることが出来るだろう。
コンクリートと鋼鉄で出来た凸凹の壁が融解して、
道を開いた。
「あーあ。異能に弱い異能なんて。」
銃火器担当だったのに。
楽に死ねるって言ったでしょう。首領。
「こんなの、きっと苦しいじゃないか。」、
そう呟いたのと、流水に飲み込まれたのは
同時だった。
剥がれたコンクリートが水と混ざって液状化する。
川底に背が擦り付けられ痛みが走る。
爆発する直前匣を破壊した。
お粗末な兵器だ。
黒い微粒子が周囲の物質を飲み込んだ。
中原の異能を人工的に再現したかったらしい。
腕はもう使い物にならなかった。
抱き込むように匣を抱える。
こんな街も、こんな自分も、どうでもよかったのに
『ｼｭｯﾊﾟｲだな。お前も、私も。』
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置いときもの(プロフ) - 黒木宙さん» コメント有難うございます！更新頑張りますのでお待ちくださいね！！体調に気を付けます！笑 (2017年7月17日 18時) (
レス) id: 001e2135c2 (このIDを非表示/違反報告)
黒木宙(プロフ) - 何時も楽しみにしています！次が待ち遠しいです笑体調には気を付けて頑張ってください！ (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0545e227ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：置いときもの | 作者ホームページ：http://user.nosv.org/p/oitokimono/
作成日時：2017年6月15日 23時
