死にたがりの君に花束を【文豪ストレイドッグス】

#035 独り-2 ページ37

Aside

『嗚呼、そうか。その口ぶりを見るに

あの人も無事じゃないのか。

生かすのはやめだ。

貴様を殺せば異能も解ける。

生憎銃が無いから報復にはならないけれど…

綺麗には殺してあげられない。』


私は拷問器具が置かれた台に手をかけた。

先程まで私に使われていたものだ。

傷つける事に慣れてしまった躰が、心とは反対に

動きだす。

私は何処までだって非道になれる。

彼の事をおもうと、そんな気がした。

暫くすればここで頭部を砕かれ、三箇所の内臓を

抉られた様な遺体が発見されることだろう。



後は、この箱を太宰に届ければいい。

そう、思っていたのだが。



予想が、外れた。









起爆、まで、後、5分46秒









此れでは太宰を探す時間は無い。

任務は、確実に遂行し、成し遂げねばならない。

不確定要素に賭けるよりも、

自身で解決するほうが確実だ。




ならば。






『私の判断が間違っていたことは？』



無い。


私は今もそう思っている。

だから、この決断で良いのだ。


其れが組織の為。

否、太宰の為だけの行動かもしれない。







急に笑いがこみ上げてきて、口許が緩む。


死にたがりが “コイ”なんて。

其れが少し、馬鹿らしくて。少し、愛しくて。

なんて、愚かなのだろう。

なんて…くるしいのだろう。




なきながら、

わらいながら、

ぐちゃぐちゃになったかおで、ひとり、はしる。

どうしようもない このきもちを、

たからものみたいに、そっとしまいながら。









『きみにいきてほしいのに、いっしょにしにたい』

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