鬱です、まじ鬱です。・後篇【高峯翠】 ページ29
今年度が始まって、もう三週間がたった。
なんだか、最近の生活にも慣れてきて、毎日が平穏で、順調。
だと思っているけれど
(何か…何か足りないような気がするんだよなぁ。)
何か、何なのかはわからないけれど、胸の内側がもやっとしたような、なんとなく息苦しいような、そんな気持ちになるのだ。
しかし、それでも時は経つ。
朝が過ぎ、昼が過ぎ、放課後。
今日は流星隊のプロデュースの日だ。
彼女はレッスン室に足を急がせた。
・
・
「ありがとうございました!」
レッスンも終わり、彼女は顔を洗いにきていた。
自分がレッスンを受けていたわけではないのだが、なかなか疲れるもので、汗もいっぱいかいてしまうのだ。
とた。
上履きの音が、自分の隣で止まった。
誰なのだろうか。目を開けたいが、彼女は水中で目を開けられないタイプだった。
すると、手元にタオルを渡してくれた、その人。
「あ、すみません、ありがとうございま…あ、翠くんッ?」
顔を上げた先に見えたのは、高峯翠。
彼女はひとまずお礼を言って、立ち去ろうとした。が
「待って…!」
ぎゅ、と腕を掴まれて、それはかなわなかった。
彼女は声を出すのも忘れて、固まる。
そうすると、彼はゆっくりと話し始めた。
「去年、オレとAさん、一緒のクラス…だったじゃん。で、今年離れたじゃん。」
「うん。」
「なんか、今年、違うクラスになって気づいた。オレ、休み時間中、どこ見たらいいのかわかんなくなってた。」
彼女は首をかしげた。
どういうことだか、彼女の弱い頭ではよくわからない。
どうやらわかっていなさそうな彼女を見ると、彼は続けた。
「…目のやり場がなくなって、困った。今までどこ見てたかとか、思い出せなくなってた。」
それでも彼女はわからないようで、頭にはクエスチョンマークで溢れている。
そんな彼女に痺れを切らしたか、彼は大きな声で言った。
「だから!去年はずっとAさんのこと見てたってこと!」
「…へ!?え、ちょっとまって!」
彼女は反対の手で顔を隠した。
しかし、その手は払われる。
彼の大きな手が、強くつかんで、引きはがし、彼女の瞳の中には彼の瞳が、彼の瞳の中には彼女の瞳が映る。
「待てない。オレは、Aさんのことが、好きです!付き合ってください!」
ぎゅ、と一つになった影が見え、彼女は先ほどに増して顔を朱くなった。
I Am Yours.(上)【伏見弓弦】→←鬱です、まじ鬱です。・前篇【高峯翠】
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誘宵(プロフ) - すみません!リクエストいいですか?できたらでいいんですけど(おともだーちー)の続きが見たいです! (2018年9月4日 18時) (レス) id: 5537d07d79 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - マイさん» リクエスト誠にありがとうございます。当方、伏見の小説をかいている途中なのでそのあとになりますが、よろしければかかせていただきます。 (2017年1月1日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
いーち(プロフ) - マイさん» はい、わかりました!ではその旨を伝えておきます。リクありがとうございました! (2017年1月1日 21時) (レス) id: 11ee66640a (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - いーちさん» あ、ごめんなさい!そー言う意味か。作者様の名前ですね!えぇ〜そうですね!まめだいふくもち様でお願いします!! (2017年1月1日 21時) (レス) id: dcde0ec6da (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - いーちさん» えーっと、とりあえず鉄虎君が出てきたらなんでもいいです!お願いします! (2017年1月1日 21時) (レス) id: dcde0ec6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめだいふくもち/いーち x他1人 | 作者ホームページ:http://ない
作成日時:2016年8月12日 23時