29話 ページ31
スザクの出発当日(ルルーシュは風邪が酷くなって結局お見送りには来られなかった)
私はスザクの遠征が決まった日から毎日夜になると涙が止まらなくなってしまい、目がみっともないくらい真っ赤っ赤になってしまっていた。それを見たスザクがぼろぼろと泣き出してしまい、私達はしばらくの間人目なんか気にせず抱き締め合っていた
ロ「あのぉ〜...皇女殿下?そろそろスザク君お借りしても良いですかねぇ〜?」
遠慮がちに声をかけてきたのは、ルルーシュいわく「インチキ発明家」であるロイド博士だった
貴『あっ...ごめんなさい...もう少しだけ待ってください。スザクに渡したいものがあるんです』
ロ「ざぁんねんでしたぁ!皇女殿下とスザク君の恋路の邪魔はしませんよぉ〜」
...要するにもう少しだけ時間は大丈夫ということだろうか...。あ、隣でセシルさんが申し訳なさそうな顔してる...
ス「僕に渡したいものって、一体なんだい?」
貴『あのね...これなんだけど』
と言って私はそっとスザクに小さな紙袋を手渡す。
ス「開けてもいい?」
貴『うん』
スザクが手の平にそれをぽとりと落とす。
ス「これって...もしかしてお守り?」
貴『うん...日本にはマヨケ?とか加護とか、人の願いを象った縁起物...お守りがあるって知ったの。神社とかのじゃなくて、私の手作りだから効果あるかわからないけど...』
それは私の大好きなスザクの瞳のような綺麗な緑色を基調とした私お手製のお守り。裏にはスザクの大好きな猫であるアーサーっぽい黒猫も刺繍してみた。初めてにしてはなかなか良く出来たんじゃないかと思うんだけど...。
貴『どう...かな?受け取ってくれる?』
スザクをお守りを握りしめたままわなわなとしばらく震えた後、大きな目に大粒の涙を浮かべて、さっきとは比べ物にならないくらいの強さで抱き締められた
ス「ありがとうッッ...ありがとうA!!!僕このお守りがあれば絶対に無事に帰ってこられるよ!神社のなんかより全然ご利益ある!シュナイゼル殿下だろうと新型ナイトメアだろうと...僕...僕勝ってみせるから!だから待ってて...このお守りと一緒に帰ってくるから...!!」
私はその言葉にまたぼろぼろと涙を零す。
どうか...どうかこのお守りがスザクを無事に連れて帰ってきてくれますように...
貴『待ってる!!!どうか無事で...スザク!』
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作者名:ぴー | 作成日時:2019年3月1日 2時