11話 ページ13
ス「僕は...軍人だ。君を守ると誓ったその日から、ずっとずっと軍人という職に守られた人殺しだ。君のそばにいたいだけなのに、戦場で人を殺す度、僕にはその資格はないんじゃないかと思う。血に染まった両手で君を抱き締めるなんて...僕が君を汚しているようなものだ。そんなの耐えられない。毎度毎度そう思って帰ってくるけど、嬉しそうに僕を抱き締めてくれる君に、僕は救われてる。縋ってるんだ...何も知らない君に縋って、汚して、許しを請うているんだ。卑怯な男なんだ僕は。君に心を痛めてもらえるような優しくて誠実な人間じゃない」
スザクは泣いていた。
私はそんなスザクの言葉にふるふると首を横に振ることしか出来なくて。
泣いている彼を前に泣きながら抱き締めることしか出来なくて。
こうやって私が泣いている時は、すぐに飛んできて優しい言葉と抱擁で私を癒し、助けてくれるスザク。そんな貴方が悪人であると言うのなら、この世の一体どこに善人がいると言うの?
私はすぅと息を吸って再びスザクに向き直る
貴『スザク.....あなたは手に掛けたその人たちの分まで、踏ん張って生きていかなきゃいけない。.....そしてその命でもう争いが起きないように必死に努力しなくちゃいけない』
ス「...」
貴『でもあなたは1人じゃない。私がいる。...あなたが踏ん張りきれなくて倒れたって、私が支えてみせるから...ッ!あなたの努力に力を添えられるように...私も頑張るから!』
ス「A...」
スザクは驚いたように目を瞠る。
貴『だからお願い。...笑って?あなたの綺麗な緑色が歪んでいるのを見るのは辛いの』
私はそっとスザクの涙で濡れきってしまった頬に触れ、涙のあとをたどる。
優しく優しく、いつもスザクがそうしてくれるように、大切なものに触れるように、ふわふわの頭を撫でる。スザクが目を閉じる
貴『争いのない明日を一緒に作る為に、スザクは私のそばにいてくれるんでしょう?』
ス「...そうだ。僕は君を守り、君と共に世界を守る。そう誓った。その誓いは違えない。何があっても」
その淀みない答えに私は微笑んでスザクを抱き締める。
スザクもまた私を抱き締め、満足気にふふと笑う。
そうして夜は更けていった
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作者名:ぴー | 作成日時:2019年3月1日 2時