9話 ページ11
なるべくスザクに気を使わせないように、私は務めて平静を装おうと神経を尖らせた。が、それが余計に良くなかったのだろう。銃声、人の断末魔のような叫び声、爆発に巻き込まれ焼け爛れる住宅地、人が人に切りつけられて溢れ出る鮮血。
全てにいちいち反応してしまい、震えたりすることは少なかったものの、怖くて怖くて目を覆いたくなっていた。これは戦争を題材にした映画だった___
そこで気づく。
スザクもこの中にいるのだと。
軍人である以上、戦地へ赴くことは避けられない事実であり運命。スザクはランスロットに騎乗しているから生身で戦うことは無いけれど、この爆風に巻き込まれる可能性だって、他のナイトメアに撃ち抜かれてしまう可能性もある。
この画面に写っている人達のように、スザクも簡単に命を落としてしまう。スザクだって人間だ。簡単に、他の誰かの手によって、あっけなく、死んでしまうのだ。
私はもう溢れ出る感情を制御しきれず、後ろを振り向いてスザクを抱き締めた。ここにいることを感じられるように、強く強く抱き締めた。
そんな私に驚きつつも、私を抱き締め返してくれるスザク
ス「A?どうしたの?やっぱり怖い?」
私はぶんぶんと首を横に振る。
怖いことには変わりないのだが、多分スザクの言う「怖い」とは種類が違う。愛する人をこんな形で失う可能性が怖い。怖くて怖くて、仕方ない。
私は無言でスザクを抱き締める。涙がポロポロと溢れてくるけどもう自分じゃ止められなかったし、スザクから腕を離すのが嫌だった。
スザクは私が泣いていることに気づいて、そっと涙を拭ってくれる。そして優しい声音で、大丈夫大丈夫と背中を撫でてくれる
ス「ゆっくりでいいから。ね?大丈夫、僕がここに居るから。落ち着いたら、何があったのか話して。君の不安は、僕が取り除くから」
その言葉にこくんと頷きながら、私は体をスザクに預けてしばらくの間子供のように泣きじゃくった
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作者名:ぴー | 作成日時:2019年3月1日 2時