冨岡義勇 「抱き合え」 ページ3
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「……嫌な予感がした」
「起きたか」
「ホラァ──ッ嫌な予感当たったァ!!」
床をダンダンと叩く私。それを不思議そうに見つめる冨岡。こいつ表情筋死んでるからさあマジで苦手なんだよ! 判る!?
神は死んだ……と菩薩顔で呟く私に冨岡は「そうか、神は死んだのか……」と言った。そういう所が嫌いなんだっつーの!!
「……刀がない。血鬼術かもしれない、気をつけろ」
「そのくだり前にもやったわ」
「! 前にも此処に来たことがあるのか?」
驚いた顔で見つめる冨岡に、私はうっ、とと言葉に詰まる。
「……まあな。恐らく血気術じゃあないと思うが……一体何なのかはさっぱりだっふぁ」
「……だっふぁ?」
「うっせーよ復唱すんじゃねーよ! つい言っちゃっただけだわ!!」
いきなり顔に張り付いた紙をはぎ取りながら叫ぶ。マジで……こいつと一時間でも一緒に居てみ? 確実に喉が死ぬわ。
それはそうと、と私は手に持った紙に目を落とした。冨岡も一緒にのぞき込む。
そして二人仲良く、フリーズした。
【抱き合え】
「おい冨岡。お前にこんなことを頼むのは癪だが、私の頬を叩いてくれ」
「わかった」
「ぶほぉあっ」
バチィィン! と盛大に音が頬から聞こえた。こいつ力強すぎかよもうちょっと加減っていうものを知ってほしいものですね!? いや柱に頼んだ私がバカだっただけ!?
だけど痛い(いやちょっと本気でかなり痛い)頬が教えてくれる。
此処は現実であると。目を覚ます必要はないと。
私は恐る恐る冨岡をみやる。冨岡は不思議そうに首を傾げた。
いややっぱ無理だわ、この能面と抱き合うとか無理だわ。地球が百回太陽の周り回っても無理だわ。
「抱き合おう」
「ぶふぉっ」
真顔で言った冨岡に私はヤツの顔面に吹き出した。
……いや私は悪くないはず。
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廣岡唯 - しのぶさああああああああああああああああああんと蜜璃ちゃんああああああああ (2022年11月30日 9時) (レス) @page18 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
利音 - 嘘つきピエロさん» 走れメロンだよ (2021年9月22日 15時) (レス) @page28 id: a5ff14c25a (このIDを非表示/違反報告)
玄武 - んん” か”っこ”い”い” (2021年7月3日 22時) (レス) id: be050932d4 (このIDを非表示/違反報告)
嘘つきピエロ - 伊黒さんの「死ぬ気で闘え」の序盤の2文って走れメロスでしょうか……? (2021年1月21日 15時) (レス) id: f059c2a2b0 (このIDを非表示/違反報告)
nao0824hito(プロフ) - 不死川さんと冨岡さん私も好きです。 (2021年1月1日 0時) (レス) id: 04378a0bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年12月26日 16時