27話 異常な人気 ページ28
「―――はい！今日はこれでおしまい！もう遅いからとっとと帰ってね！」
先生の高い声がレッスン室に響き脱力する。
今日は久しぶりに練習で頑張った気がする……
荷物を整えていれば先ほどの友人の彼が話しかけてくる。
「お疲れ〜」
「お疲れ」
「お前は主人公だから大変だよな。俺だったらあんなセリフの量覚えられねぇよ。」
「馬鹿だからね」
「前言撤回する。今のお前より前の優しいAが良い。」
記憶力が悪いだけで頭は悪くない！と、言い張る彼を横目で見てボロボロになった台本を中学から使っているリュックに入れる。
翠がプレゼントしてくれたもので使い古しており少し汚れていたりもする。
本人はもう捨てていいと言っているが中々これが手放せない。
「なぁなぁ、今日帰りにどっか寄らね？」
「ごめん。生徒会室に寄らないといけないから。」
「そっか。同じ一年生なのに大変だな。」
「うん。君の自堕落に過ごす暇な時間が欲しいほど僕は大変だよ。」
「一言余計！」
そう言って彼は立ち上がる。レッスン室から出ないあたり僕のことを待っているのだろう。
僕も荷造りが終わり彼と共にレッスン室のドアに向かう。
彼がドアノブをひねり開けると同時に部屋中に甲高い悲鳴が響く。
「あっあの！公演見てファンになりました！」
「ヤバい！超イケメン………というか美しい！」
「写真撮らせて〜」
またか。煩くて耳を塞いでも頭に響く声に眉間に段々皺が寄るのが分かる。
うざい。うるさい。近付かないで欲しい。
後ずされば占めたと言わんばかりにレッスン室に踏み込んで来る彼女達に怒りを通り越して恐怖を感じる。
「勝手に入ってくんな！」
すると突然友人が怒鳴りさすがの彼女達も少し怯む。
…………今日は彼に助けられる事が多いな。
「あのさぁ……」
「なっ…何？橘君！」
何を勘違いしているのか彼女達は頬を紅潮させて僕の言葉を待っている。
うんざりしながら彼女達を睨み言葉を放つ。
「―――喧しいし、迷惑やから出ていってくれませんか？このくそ豚女」
残念ながら君たちの求める優しいA君はこの場に存在しない。そういう意味も込めて。
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む(プロフ) - ほんとに好きです… (2022年6月4日 10時) (
レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 凄い面白くて語源力があって羨ましいです!更新頑張ってください! (2020年4月11日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
更夜＆ルナ@歌い手(プロフ) - AOI３さん» 了解です！頑張ります！ (2020年4月9日 19時) (レス) id: b1f570929b (このIDを非表示/違反報告)
AOI３(プロフ) - 更夜＆ルナ@歌い手さん» コメントありがとうございます。返信遅れてすみません！イメ画の件はぜひ！描いてくださると嬉しいですヽ(*´∀｀)ノ (2020年4月6日 15時) (レス) id: e5bf353bab (このIDを非表示/違反報告)
更夜＆ルナ@歌い手(プロフ) - すごく面白い作品ですね！応援してます！ついでとは何ですが夢主さんのイメ画を描いてもいいでしょうか？下手ですけど｡ (2020年3月22日 20時) (レス) id: b1f570929b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AOI 3
| 作成日時：2019年8月7日 14時
