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「あ、キヨに言うの忘れてた」
「何を?」

適当に会話して歩きながら私はふと思い出したのだ。
母親にこの前の夜を一部始終見られていたことを。

「あのですね、お母さんにバレた」
「付き合ってることが?別にいいじゃん」
「…この前の夜、一部始終見られてた」

私が躊躇いながらそう言うと、キヨはあからさまに顔を赤くした。

「え、まじで?俺印象めちゃくちゃ悪くね?」
「いや…いつの間に彼氏なんか作ってたのって驚かれはしたけど…あ、今度家に連れて来てって」
「絶対ダメなやつだろそれ…いや、親公認なら強くなるか?」

キヨはその後もブツブツと呟いていたが店が見えてきたことで私の頭の中には西国無双のことしか頭になかった。

**

「じゃあ私受け取ってくるから。キヨその辺見てていいよ」

混んでいるレジを一目見て私はキヨにそう告げた。
キヨはあとから見るから別にいいと一緒に並んでくれたけど。

西国無双を受け取って、少し店内を見て回ってから、キヨの家でゲームすることになり、自転車パークに置いてある自転車を取りに行った。

二人でいつの間にか主要キャラの声優が変わっていたことに驚いたりキヨがストーリー読むのが早すぎて私が読めなかったりと中々に濃い時間だった。

午後五時半。
今日はお母さんが早いからとキヨとキヨの家を出た。
私が自転車だからキヨも自転車だ。

「キヨが自転車乗ってるのなんか不思議」
「なんで?」
「いつも徒歩のイメージがある」
「なんだそれ」

**

「あ、Aおかえり…ん?」

やらかした。
花壇に水をやっている母と対面した。
今日帰ってくるの七時頃じゃなかったっけ…と私は朝の会話を思い出す。
隣にはキヨがいるがどんな顔をしているのか分からない。

「この前のイケメン君じゃない!A送ってきてくれたの?わざわざありがとうね〜、どうぞ上がって上がって。Aから話は聞いてるの。今日親御さんは家にいらっしゃる?良かったらご飯食べていかない?」
「え、あの」

キヨは押されるがままに家へと入っていった。
キヨが言っていたような心配がないことは分かっていたがここまで母のテンションが上がるとは思ってもいなかった。

(キヨ…ごめん)

これから襲うであろう質問攻めに私は心からキヨに謝罪した。

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作者名: | 作成日時:2019年12月26日 12時

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