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「Aの友達のお兄さんなのよね?えっと…清川くん」
「え…あ、はいそうです」

キヨがあからさまに困惑してる。
私への視線が痛い。

「で、勉強教えてくれてたのよね、Aに。もうこの子ったら全然そんな話してくれないから…。知ったのもほんとについ最近なのよ?」
「はは…」

苦笑いするしかない。
もちろん全て捏造だ。
なんとか誤魔化すためにペラペラと話したらこうなったのだ。
お願いだから笑顔でお怒りのオーラを出さないで欲しい。

「お、お母さん。私ご飯作るから。キヨと話してて」

もう耐えきれない。
母の返事も聞かずに私は部屋を出た。

**

(逃げたなあいつ…)

俺に妹はいないしAの学力なんてそれこそ知らない。
どうやってこれから誤魔化すんだ。

「あらあら。恥ずかしかったのかしらね。あの子ね、清川くんの話をする時、とても楽しそうに話すのよ。中々人見知りの激しい子なのだけどこれからも仲良くしてやってほしいわ。なんて、おこがましいかしら」
「そんなことないですよ。めちゃくちゃ可愛いし素直です」

Aの母親は、きょとんと俺の顔を見つめた後、綺麗に微笑んだ。

(あ、Aに似てる…)

「そう。ほんとに清川くんのことが好きなのね。清川くんは、Aのどんな所が好きなの?」
「どんな所…考えたことなかったです。いつの間にか好きになってて…」
「ふふふ。清川くんて嘘つけない人なのね」
「え、あ。すみません」
「ううん。いいのよ。あの子が好きになるのも分かる気がするわ」

親公認、だよなこれ。
まじか。トントン拍子じゃないか。

「あ、あとね」
「はい」
「あの子急に色気づいたのよ。これもきっと清川くんのおかげよね?もう今までお洒落なんて全く興味ない子だったから。とても嬉しかったの」

やっぱり、そうなのか。
Aの私服がどんなものなのか想像は大体ついていたが、確かに今日はとても可愛かった。

「私ばっかり饒舌になってごめんね。清川くんは何か聞きたいことある?」

これは予想していなかった。
Aのことを聞けるチャンスなのに急に問われると何も思いつかない。

「…」
「急に言われてもよね。いつでも知りたいことがあるなら答えるから。あ。連絡先交換しない?」

多分顔は母親に似たのだろうが性格は似なかったのだろうな、とぼんやり思いながら連絡先を交換した。
むしろノリだけなら断然JKらしいと不謹慎ながらも思ってしまった。

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作者名: | 作成日時:2019年12月26日 12時

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