kiss me again～遠回りの恋～vol.4 (ページ10)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:45,864 hit

矛盾な感情ページ10

…宮田？

すっげー怒ってる…。

玉「仕方ないだろ！？だって…Aちゃんはガヤと付き合ってんだよ…！」

宮「だからって…不審者からも助けといて逃げるなよ！」

…は？

隣から発せられた言葉に、ポカンとする。

不審者捕まえたの、タマなの？

いや、その前に何？
Aが俺と付き合ってる？

寝耳に水…っつーより、寝耳にコーラだって。

いやいや、んなわけないじゃん。

そりゃ、そうなったらすげー嬉しいけど。

ってか何？
俺と付き合ってるから遠慮して告白しないのかよ。

すぐ駆けつけるほど好きなくせに？

まだ隣では告れだの、告れないだので言い争ってるけど、俺の耳にはもう入ってこない。

藤「タマの奴…そんな勘違いでAのこと泣かせてんじゃねーよ。」

バタンとロッカーの扉を閉めて、あの時のAを思い出す。

名前を出しただけで涙を流して、本気でタマのこと好きなんだってわかった。

でも、本人はフられたって。

藤「そういうことかよ…。」

昔からタマはそうだった。

スタイリスト、モデル、女優…。

目が合っただけで真っ赤になってて、ひと目で惚れてんだなってわかる。

だけど、その子が俺と仲良くしているところを見た次の日からは、急によそよそしい態度になって。

いつも俺に遠慮して、そうやって傷つくことから逃げてた。

あの時は、タマが決めたことだからってそのまま女の子と遊んでたけど、今は違う。

本気で好きだって思えるAに出会ったからこそ、身を引くタマの苦しみがわかる。

だからこそ腹が立った。
そんなに大切なら泣かせてんじゃねーよ。

俺はAを諦めない。

Aもタマを諦めない。

だからタマ、お前も諦めんな。

小さくふぅーっと息を吐いて、メールを打たずに携帯をしまう。

藤「ほんと俺、何やってんだ。」

苦笑しながら、宮田が出て行ったのを確認してタマのいる隣の部屋に向かった。