気になる言葉、聞けない言葉 ページ29
「それって、どういう意味?」
思いをそのまま口にする。
玉「俺…Aちゃんが…。」
私が…何?
その先を早く聞かせてほしいよ…。
続きを促すように見つめるけれど、玉森くんはそれ以上何も言わず固まったまま。
藤「タマ、お前さっきから何なんだよ…。」
見かねた藤ヶ谷くんが立ち上がり近づいた時、急に玉森くんが両手をバッと口に当てた。
玉「…き…。 」
「き…?」
玉「きもちわるい…。」
「えっ、あ!!玉森くんしっかりして!!」
私の視界から玉森くんの姿がゆっくり消えていく。
藤「っぶね…、おいタマ、しっかりしろ!」
間一髪のところで藤ヶ谷くんが倒れていく玉森くんを支えた。
玉「うぇ…がや……。 」
涙目で藤ヶ谷くんを見つめる苦しそうな玉森くん。
それを抱きかかえる藤ヶ谷くん。
な、なんかものすごく美しい絵になってる…?
藤「ちょ、ごめん。タマ部屋まで連れてってくるわ!」
「あっ、うん!そうしたほうがいいと思う…!」
自分よりも背の高い玉森くんの腕を肩に回して、藤ヶ谷くんは部屋に戻って行った。
玉森くん、大丈夫かな…。
残された私は、まだ手に持ったままだったパンフレットに目をやる。
「俺と行こ…って、どういう意味で言ったのかな…。」
あの時の玉森くんはなんだか、藤ヶ谷くんにヤキモチ妬いてるみたいな…。
ううん、そんなことあるわけないか。
きっと酔ってて少しおかしかったのかな。
そう心の中で否定する。
でも、最後の言葉は何だったんだろう。
何か言いかけてた…。
「んー…わかんないや…。」
頭を使っていると、少しまぶたが重くなるのを感じた。
「私も部屋に戻ってもう寝ようかな…。温泉は明日入ろう。」
これから起こる出来事なんて知る由もない私は、呑気にあくびをしながら部屋に戻った。
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HRS(プロフ) - 誤字脱字直しました。渉「」→横「」、ミツ「」→北「」に手直し済みです。 (2014年11月3日 23時) (レス) id: 46edfaf00b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HRS | 作成日時:2014年10月30日 12時